正常発達を知ることは、小児のリハビリはもちろん、成人片麻痺のリハビリを考える上でも非常に役立ちます。

歩行の獲得は突然起こるものではなく、

  • 頸部の安定
  • 体幹の安定
  • 下肢の支持

といった機能が、一定の順序を踏んで発達することで成立します。

また、成人片麻痺の回復過程でも、

  • 寝返り
  • 座位
  • 立位

といった段階を経て機能が回復していくことが多く、正常発達の理解は臨床において大きな意味を持ちます。

この記事では、生後約1年で歩行を獲得するまでの正常発達について整理してみます。

運動発達の基本原則

運動発達には、いくつかの重要な原則があります。
これらを理解することで、各動作の意味が見えやすくなります。

① 連続性(Continuity)

運動発達は、突然起こるものではなく、前の動作が次の動作につながる形で発達していきます。

例:

寝返り

座位

四つ這い

立位

歩行

この流れの中で、どこかの段階が不十分であると、その後の発達にも影響が出やすくなります。

② 方向性(Direction)

運動発達には、一定の方向があります。

● 姿勢コントロール
頸部 → 体幹 → 下肢

● 運動の広がり
中枢 → 末梢

例えば、
首が安定することで体幹が安定し、体幹が安定することで下肢が安定していきます。

③ 順序性(Sequence)

運動発達は、決まった順序で進んでいきます。

● 粗大運動 → 微細運動

例えば、

座位が安定する
→ 両手が自由に使える
→ 指先で物をつまめる

という流れになります。

歩行獲得までの発達の流れ(月齢の目安)

ここでは、生後から歩行獲得までの代表的な発達の流れをまとめます。
※個人差はありますが、大きな流れを理解することが重要です。

0~3ヵ月:頸部コントロールの発達

0~1ヵ月
・把握反射

2ヵ月
・追視(物を目で追う)

3ヵ月
・定頸
・180°追視
・発声

この時期の意味

この時期は、頸部の安定を獲得する時期です。

頸部の安定は、

  • 姿勢コントロール
  • 視覚の安定
  • 上肢の操作

などの土台となります。

4~6ヵ月:体幹機能の発達

4ヵ月
・両手を合わせて遊ぶ
・肘立て腹臥位
・飛行機ポーズ

5ヵ月
・物を握る
・自分の足をつかむ
・寝返り(背臥位→側臥位)

6ヵ月
・寝返り(背臥位→腹臥位)
・手で支えて腹臥位

この時期の意味

寝返りは、初めての大きな重心移動を伴う動作です。

この動作によって、

  • 体幹回旋
  • 骨盤の動き
  • 重心移動

が発達していきます。

7~9ヵ月:座位と移動の獲得

7ヵ月
・一人で座る
・喃語

8ヵ月
・ハイハイ

9ヵ月
・つかまり立ち

この時期の意味

座位は、歩行に向けた身体づくりの重要な段階です。

この時期には、

  • 坐骨での支持
  • 体幹の安定
  • 重心移動

が大きく発達します。

また、ハイハイは、

  • 上下肢の協調
  • 体幹の安定

を促す重要な運動です。

10~13ヵ月:立位から歩行へ

10ヵ月
・伝い歩き

11ヵ月
・指先で物をつまむ

12ヵ月
・一人で立つ
・一語文

13ヵ月
・一人歩く

この時期の意味

歩行は、それまでに獲得した機能の積み重ねによって成立する動作です。

特に、

  • 片脚支持
  • 重心移動
  • バランス能力

が重要になります。

リハビリ介入のポイント

ここでは、臨床で特に重要となる発達段階について整理します。

NICU(未成熟児)のケア

未成熟児は、体幹で姿勢を保持することが難しく、

  • 足部(外果)

などの遠位部で固定しやすくなります。

この状態が続くと、

  • 体幹での姿勢コントロールが発達しにくくなる
  • 不快感により情緒不安定になる

といった問題につながる可能性があります。

介入のポイント

  • タオルにくるんで屈曲姿勢を促す
  • 軽い接触刺激を与える
  • 体重移動を経験させる

これにより、

  • 安定感の向上
  • 下肢運動の促進
  • 吸啜の促通

につながります。

定頸の獲得(3ヵ月)

定頸は、姿勢発達の最初の大きな節目です。

観察ポイント

□ 正中位指向(ミッドラインオリエンテーション)
  → 背臥位で頭部が正中位にあり、両手足が身体の中心に集まる

□ 腹臥位で頭部を持ち上げられる

□ 縦抱きで頭部が安定する

□ 引き起こし時に頭部が遅れない

寝返りの獲得(5~6ヵ月)

寝返りは、体幹回旋の発達における重要な段階です。

観察ポイント

□ 正中線を越えたリーチができる

□ 骨盤後傾して両下肢を屈曲できる

□ 重心が側方へ移動する

これらが不十分な場合、体幹の回旋運動が十分に発達しない可能性があります。

一人座位の獲得(7ヵ月)

座位は、歩行につながる姿勢コントロールを発達させる重要な段階です。

9~10ヵ月頃には、座位で動き回ることで、

  • 身体構造
  • 姿勢制御

が大きく発達していくと言われています。

観察ポイント

□ 頸部・体幹が安定している

□ 坐骨結節で体重支持できる

□ 倒れそうになった際に腕を伸ばして支える
(パラシュート反射)

※上肢の緊張が高い場合、この反応が出にくくなります。

成人片麻痺リハビリへの応用

正常発達の理解は、成人片麻痺のリハビリにも応用できます。

例えば、

  • 体幹が不安定
    → 座位が不安定
    → 立位が不安定

という流れは、乳児の発達過程と非常によく似ています。

そのため、「この方はどの発達段階が不足しているのか」という視点を持つことで、
過度に難しい課題設定を避けることができます。

まとめ

生後約1年で歩行を獲得するまでには、

  • 頸部
  • 体幹
  • 下肢

といった順序で姿勢コントロールが発達していきます。

小児リハビリでは、

  • 正中位指向
  • 重心移動
  • 姿勢コントロール

といったポイントを押さえながら、どの段階まで発達しているのかを見極めることが重要になります。

また、正常発達の理解は、成人片麻痺のリハビリにおいても有効な視点となります。

日々の臨床の中で、「今、この方はどの発達段階にいるのか」という視点を持つことが、より効果的なリハビリにつながると考えます。

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