座位では脊柱だけでなく、支持基底面に対しても評価やアプローチができていますか?
座位を整えるには、まず土台となる支持基底面を整えることが重要です。
骨盤や体幹を起こすだけでは、一時的に修正できてもすぐに姿勢が崩れます
今回は座位での支持基底面の評価やアプローチについて私の考え方をまとめてみます。
目次
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座位の支持基底面について
支持基底面とは
支持基底面(base of support)とは身体が床面に接している部分のことで、身体を支える土台になります。
支持基底面が広く、重心が支持基底面の中心に近いほど安定性は高まります。
正しい座位での支持基底面
- 両大腿後面〜坐骨での支持
- 足底での支持
- 支持基底面内に重心がある
〇正しい座位の重要性
下肢・体幹の姿勢保持筋がバランスよく働くことで、身体に様々な良い影響を与える
不良姿勢での支持基底面
- 仙骨での支持(後方重心)
- 片側の大腿骨に偏位した支持(重心偏位)
- 両足底への荷重が不十分(後方重心)
〇不良姿勢による悪影響
- 円背を助長
- 股関節・膝関節の柔軟性低下
- 下肢・体幹の筋力低下
- 腰椎骨盤リズムの破綻(下肢と体幹の協調性低下)
- 腹部圧迫による呼吸機能・内臓機能低下
- 腰痛の原因(フラットバック)
- 脳や身体の血流低下
座位へのアプローチ
ここからは私の考え方や評価・アプローチ方法について記載します。
座位修正の段階付
支持基底面から上方に向かって段階的にアプローチします。
- 殿部の支持基底面の安定:坐骨・骨盤周囲の筋活動
- 足底の支持基底面の安定:股関節周囲の筋活動
- 骨盤が起きて脊柱が骨盤に乗る:インナーユニットの筋活動
- 脊柱のS字カーブが戻る:インナーユニット、アウターユニットの筋活動
インナーユニット
姿勢と呼吸の安定に重要な筋群です。
横隔膜、腹横筋、多裂筋、骨盤底筋群
アウターユニット
- 後縦システム:脊柱起立筋、大腿二頭筋、長腓骨筋
- 後斜システム:広背筋、対側の大殿筋
- 前斜システム:内腹斜筋、対側の外腹斜筋、股関節内転筋群
- 外側システム:中殿筋、小殿筋、内転筋、対側の腰方形筋
支持基底面へのアプローチ
座位修正の最初の段階である支持基底面の評価とアプローチについて私が実施している方法を紹介します。
①殿部の接地面の対称性を評価
- 両手の小指を側方から入れて、支持基底面の左右差を確認する。
- 隙間が少ない方に重心がある。
②坐骨への荷重を評価して修正
- 坐骨に触れやすいように無理のない範囲で骨盤を起こす。
- 重心がある側の坐骨に触れて荷重を促す。
- 坐骨への荷重により筋活動が起こると、坐骨の位置が外側に移動し、骨盤が崩れにくくなる。
※片麻痺などの疾患により、筋力に左右差がある場合は健側から荷重を促す。
- 片方の坐骨に荷重ができたら、もう片方も同じように荷重を促す。
〇坐骨の位置の崩れと原因
- 前方への崩れ:骨盤後傾によりハムストリングスに緊張や短縮が起こる。
- 内側への崩れ:骨盤が側方への虚脱することで、インナーユニットの働きが不十分となり腹腔内圧が低下する。
③骨盤の傾きを評価して修正
- 坐骨の位置を後方に戻すと、骨盤が起きて足底にも荷重がかかる。
- 左右の坐骨へ均等に荷重がかかるのを待つ。
〇骨盤の傾きの評価の目安
- 正常な骨盤の傾き:上前腸骨棘(ASIS)よりも上後腸骨棘(PSIS)が2横指程度高い。
- 腰椎の生理的前弯45°~60°:後弯やフラットバックに注意する。
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まとめ
姿勢にアプローチする際は、支持基底面が左右対称に接地し、重心が正しい位置にあることで姿勢保持に必要な筋群が働きます。
建物と同じで土台から順に積み上げるという考え方になるかと思います。
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