身体機能の評価・治療

自立支援を目的とした寝返り・起き上がり介助!作業療法士がわかりやすく解説

寝返り・起き上がりといったベッド上での動作獲得は、寝たきりを防ぎ、主体的な生活につながります。

動作獲得には、動作に必要な筋を使用する介助が効果的です。

今回は、寝返り・起き上がり動作の自立や介助量軽減につながる介助方法について考えてみます。

正常な寝返り・起き上がり動作

寝返り動作

寝返り動作は、頸椎から順番に脊柱が回旋することで正常な筋活動が得られます。

1相:頸部回旋~肩甲骨外転とリーチ

2相:上部体幹回旋~上側の肩が下側の肩の上に配列

3相:下部体幹回旋~側臥位

起き上がり動作

起き上がり動作は、体幹屈曲により圧中心点が支持基底面内に収まることで、容易に起き上がれます。

1相(屈曲相)
側臥位でベッドから下肢を降ろし、肘で体幹を起こす。(on elbow

2相(伸展相)
片肘位( on elbow )から上肢を伸ばして(on hand)座位になる。

動作獲得につながらない寝返り介助

介助者にとって楽な方法であっても、対象者の身体機能を使わない介助は、動作獲得につながりません。将来的には介助量が増え、介助が大変になります。

下肢から回旋を誘導

・対象者の両膝を立て、下肢を側方に倒してから体幹回旋を誘導する。

脊柱の回旋を誘導しない

・肩甲骨と骨盤を持って、脊柱を回旋させずに向きを変える。

動作獲得につながらない起き上がり介助

対象者の頸部を介助者の肘に載せる

・介助者が近づきすぎることで、対象者の体幹屈曲を妨げる。
・介助者は過度にかがむようになるので、腰への負担が大きい。

頸部・体幹が側屈する方向に誘導する

・対象者の体幹の屈曲を誘導せず、頸部・体幹が側屈するように持ち上げる。
・対象者の体幹の機能が使いにくく、ほとんど介助者の力で持ち上げるようになる。

動作獲得につながる寝返り・起き上がり介助

寝返り介助

1相:頸部回旋~肩甲骨外転とリーチ

・対象者の手首または上腕、肩甲骨を持ち、対側へのリーチを誘導する。

・リーチの協力が難しい場合、両手で肩甲骨を持って誘導する。
・体幹回旋の協力が得られる場合 、このまま3相まで誘導する。

2相:上部体幹回旋~上側の肩が下側の肩の上に配列

・対象者が対側にリーチできたら、介助者は両手で肩甲骨を持つ。
・介助者は胸椎と膝を屈曲して、対象者の上部体幹の回旋を誘導する。

3相:下部体幹回旋~側臥位

・介助者は片方の手を骨盤に持ち替え、骨盤回旋を誘導して側臥位にする。

起き上がり介助

対象者の持ち方

介助者の手掌~手関節の掌側面を対象者の首筋にしっかり当てる

1相(屈曲相)
側臥位でベッドから下肢を降ろし、肘で体幹を起こす。(on elbow

・側臥位から対象者の膝裏を手前に引いて、両下肢をベッドから降ろす。

・対象者の肘に荷重がかかるように体幹屈曲を誘導する。

2相(伸展相)
片肘位( on elbow )から上肢を伸ばして(on hand)座位になる。

・対象者が手をついて肘関節の伸展により上体が起きるように誘導する。
・対象者が両下肢に荷重できるように臀部の位置を調整し、座位を安定させる。

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まとめ

寝返り・起き上がり動作に限らず、正常な動作を意識した介助は対象者の筋力を改善し、介助量軽減や動作自立につながります。

介助者自身が身体を痛めないためにも、正しい誘導を習得していただきたいと思います。

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