今回は股関節の痛みの原因と痛みを緩和するためのリハビリ方法についてまとめてみます。
変形性股関節症について
股関節の痛み大半は変形性股関節症と考えられており、30~60歳代の女性に多いと言われています。
股関節は大腿骨と骨盤の臼蓋で構成されていますが、この部分の軟骨がすり減って変形や炎症が起こることで痛みが出現します。
変形の原因の多くは先天性の股関節脱臼や臼蓋形成不全(大腿骨頭を覆う臼蓋のかぶりが少ない)と言われており、加齢により軟骨が摩耗する前に予防することが重要になります。
軟骨は一旦すり減ってしまうと元に戻らないので早期に発見し、適切にケアすることが必要です。
症状
変形性股関節症はレントゲン上の変形の程度によって4つの段階に分けられます。
- 前期:わずかな変形があるが軟骨の減りや痛みはない
- 初期:軟骨の減りが少しあるが痛みは少ない
- 進行期:軟骨の減りが著明になり痛みが出る
- 末期:軟骨がほとんどなく強い痛みにより生活に支障が出る
前期の症状
- 股関節が外れる感じやクリック音がまれにある
- 長時間の歩行、立位の後に疲労感や違和感がある
- 関節軟骨が保たれているので痛みはない
初期の症状
立ち上がり、歩き始め、階段など足に荷重したときに鼠径部に痛みを感じます。
進行期以降の症状
- 脚の長さに左右差がある
- 股関節の動く範囲が狭い
- 足の爪切りや靴下を履く動作が難しい
- しゃがんだり正座することが難しい
- 末期では持続痛や夜間痛がある
一般的な治療
初期から進行期までが保存療法、進行期から末期にかけてが手術を検討する目安とされています。
保存療法
- 筋トレやストレッチ
- 体重コントロール
- 杖やサポーターによる負担軽減
- 消炎鎮痛薬
手術療法
- 関節鏡手術
- 骨切り術
- 人工股関節全置換術
その他の股関節の痛み
股関節唇損傷
股関節唇とは、股関節を取り囲む軟骨のことで、関節の安定や衝撃吸収の役割があります。
痛める原因は、スポーツや転倒、交通事故などの衝撃によるものが多く、生まれつき股関節の臼蓋低形成があると起こりやすくなります。
この軟骨がどんどんすり減ると変形性股関節症になってしまいます。
症状
- 股関節の詰まり、引っかかり感、クリック音
- 股関節が強張って動かない(ロッキング)
- 股関節がぐらぐらる、抜けそうな感じがする
- 股関節を曲げたり捻ったりすると痛い(あぐら、靴下を履く、立ち上がり、自転車の乗り降りなど)
- 長時間の座位、立位で股関節が痛い
- 寝返りで股関節に痛みや違和感がある
一般的な治療
保存療法
- 筋トレやストレッチ
- 注射や薬での消炎鎮痛
- 杖やサポーターによる負担軽減
手術療法
- 関節鏡手術
- 運動器カテーテル治療
グロインペイン症候群
10~30歳代のサッカーや陸上などの走るスポーツをする方に多く見られ、一度発症すると治りにくいと言われています。
原因は股関節の筋肉の柔軟性低下や筋力低下、体幹と股関節の協調性低下による恥骨への過剰な負荷や内転筋腱の損傷などが挙げられます。
症状
主に鼠径部、下腹部、坐骨部、睾丸部に痛みが出現します。
- 押すと痛い
- ボールを蹴る時に痛い
- 走る時に痛い
- 悪化すると歩行でも痛い
一般的な治療
体幹や股関節周辺のストレッチや筋トレが有効です。
自宅でできるリハビリ
変形性股関節症では、股関節に負荷をかけすぎないように運動を行い、筋力を維持・改善します。
お尻上げ
- 仰向けでお尻⇒腰⇒背中の順でゆっくり体を持ち上げる
- 背中⇒腰⇒お尻の順でゆっくり降ろす
中殿筋の筋トレ
- 横向きで寝た状態で股関節を真上にゆっくり開く
- 股関節を開いた状態で10秒キープ
- 足をゆっくり降ろして股関節を閉じる
フラダンス体操(変形性股関節症におすすめの運動)
股関節を回すことで滑液の分泌を促し、関節への負担を減らします。
- 肩幅に両足を広げて両手を腰に当てる
- 膝を軽く曲げて、体を少し前傾する
- 骨盤をゆっくり20回程度回す
- 反対回しも20回行う
まとめ
股関節の痛みの原因とリハビリ方法について簡単にまとめてみました。
股関節の痛みは、まず整形外科で画像を元に診断をしてもらうことが好ましいです。
もっと詳しく知りたい方のために、おすすめの書籍も紹介しておきます。