今回は脳卒中による麻痺や廃用症候群などで起こる手の拘縮の原因と改善するためのリハビリ方法についてまとめてみます。
手指の関節拘縮について
関節拘縮とは関節に付着する筋肉、腱、靭帯などが短縮、萎縮して硬くなることで関節の動く範囲が狭くなった状態です。
麻痺や寝たきり、怪我などで長期間、関節を動かせないことで起こる関節拘縮は筋肉のバランスの崩れが主な原因になります。
特に手指は狭い範囲に筋、腱、神経、血管、骨が密集しており拘縮が起こりやすい部分です。
手指の関節拘縮のメカニズム
手の拘縮で多いのは手指屈曲、手関節屈曲の状態です。
指と手首が曲がっているのでこれを伸ばせばいいと考えがちですが、重要なのは手のひらの筋肉が働くことです。
手の筋肉について
- 手内在筋:手のひらにある筋肉
- 手外在筋:指や手首を動かす筋肉
手指の関節拘縮は手外在筋が過緊張、手内在筋が低緊張でバランスが崩れた状態がほとんどです。
手内在筋には指を開いたり、IP関節(指の第一・第二関節)を伸ばしたりする作用があります。
関節拘縮の原因(Hoffaの分類)
関節拘縮の原因は様々ありますが、最も有名なHoffaの分類を紹介します。
①皮膚性拘縮
熱傷、創傷などで起こる瘢痕拘縮
※瘢痕:切り傷、火傷、潰瘍などが治ったあとに残る傷あと
②結合組織性拘縮
皮下組織、腱、靭帯、腱膜などに起因する拘縮
③筋性拘縮
ギプス固定など関節を動かさないことによる、筋肉の短縮や萎縮が原因で起こる拘縮
④神経性拘縮
末梢神経や中枢神経の疾患による痙性や痛みによる防御性収縮により起こる拘縮
⑤関節性拘縮
滑膜、関節包、関節内靭帯が炎症や損傷により癒着、萎縮して起こる拘縮
例)麻痺が原因の場合、神経性の問題にはじまりますが、次第に筋性・結合組織性にも問題が起こり拘縮が強固になります。
拘縮は動かない状態が長期化するほど様々な問題が混在してくるので、対応が早いほど改善が容易です。
自宅でできるリハビリ
本人または家族や介護者によってできるようなリハビリをご紹介します。
指の曲げ伸ばし
指の付け根から痛みのない範囲でゆっくり曲げ伸ばしを繰り返します。
家族や介護者が行う場合は、先に親指を伸ばすと他の指が開きやすくなります。
手のひらのマッサージ
手のひらを親指で軽く抑え、指の方へ向かって皮膚を伸ばすようにマッサージします。
皮膚や筋肉を柔らかくすることで筋肉が働きやすくなり血行も改善します。
ボールを握る
硬めのボールを握ることで手のひらの筋肉を刺激します。
テニスボールを軽く握った形が手のひらと指の筋肉のバランスがいい状態(手の機能的肢位)と言われています。
ボールの大きさは、握ったときに痛みがないものから始めて下さい。
まとめ
手指拘縮の原因とリハビリ方法について簡単にまとめてみました。
もっと詳しく知りたい方のために、おすすめの書籍も紹介しておきます。