今回は、睡眠中に呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群の原因と改善するためのリハビリについてお伝えいたします。
睡眠時無呼吸症候群について
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が10秒以上止まることが1時間に5回以上もしくは呼吸が弱くなる低呼吸(10秒以上換気量が50%低下)が発生している場合に診断されます。
睡眠時無呼吸症候群はいびきを伴うことがほとんどです。
検査は自宅での簡易検査(パルスオキシメーターや)で問題があった場合、入院しての精密検査(PSG検査)というのが通常の流れになります。
頻度は少ないが睡眠中に呼吸が止まることがあるという方は予備軍になるので早めの対応が必要です。
睡眠時無呼吸症候群の分類
睡眠時無呼吸症候群は3つに分類されます。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群
睡眠中に口や舌の筋肉が緩むことにより舌根や軟口蓋が沈下して気道が狭くなることで起こります。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群が全体の84%と言われています。
中枢性睡眠時無呼吸症候群
脳や心臓などの病気による脳幹の呼吸中枢の障害、呼吸筋の障害などにより呼吸運動が低下することで起こります。
混合型睡眠時無呼吸症候群
閉塞型と中枢型が合わさった状態になります。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群の原因
形体的特徴
アジア人に多い首元から顎がなだらかにつながっているような気道が狭い骨格が影響しているとも言われています。
- 首が短い
- 首が太い
- 下顎が小さい、小顔
- 下顎が後方に引っ込んでいる
- 歯並びが悪い
- 舌や舌の付け根が大きい
加齢
- 口や舌の筋力低下(上気道を広げる筋肉)
- 口蓋垂(のどちんこ)の肥大
- 体内のコラーゲンが減ることで気道の弾力性が低下

生活習慣
- 肥満
- タバコ
- 就寝前のお酒
- 高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病
睡眠時無呼吸症候群がもたらす問題
- 起床時の頭痛
- 倦怠感・疲労感
- 集中力・記憶力の低下
- 日中の眠気(居眠り運転)
- 抑うつ
- 高血圧(脳卒中の発症リスク3.3倍という報告がある)
- 心不全(30~40%が睡眠時無呼吸症候群を合併)
※睡眠時無呼吸症候群の方と一緒に寝ているパートナーや家族も高血圧になるという研究もある。
一般的な治療
CPAP(シーパップ)療法
CPAP装置につながるマスクをつけることで、気道が塞がらない状態で寝ることができます。
マウスピース
下顎を前方に固定して空気の通り道を開くようにするものや舌を正しい位置で安定させるようなものがあります。
外科手術
気道閉塞の原因がアデノイド肥大や扁桃腺肥大などの場合は手術が適応になることがあります。
リハビリ
口や舌の筋力トレーニング、姿勢や寝返り動作の改善を行います。
スマホ首と言われるストレートネックは気道を狭くする原因になります。

生活改善
横向きで寝ると舌の落ち込みを防ぎ、気道が確保されやすくなります。
抱き枕を使用すると横向きで寝ることが容易になります。
また寝返り動作を改善することも有効で、健康な方が一晩に打つ寝返りは20~30回とも言われています。
自宅でできるリハビリ
あいうべ体操
胸の前で両手を合わせ、しっかり顎を引いた状態で行います。

- 大きく口を開いて「あー」で5秒キープ
- 舌を上顎につけ、しっかり唇を横に引いて「いー」で5秒キープ
- しっかり口をすぼめて「うー」で5秒キープ
- 下顎めがけて力いっぱい「べー」で5秒キープ
姿勢を改善するトレーニング
姿勢を正しくすることで気道を広げる筋肉が働きやすくなったり、睡眠時の寝返りがスムーズになったりします。
首のストレッチ

- 右手を背中の後ろに回す
- 左手で頭を押さえ、左下を見るようにゆっくり首を倒す
- 左下を見た状態で30秒キープ
- ゆっくり元に戻し反対も同じように行う
首と体を捻る運動

- 椅子の背もたれの後ろに手を回し、後ろを向くようにできるだけ首と体を捻る
- しっかり首と体を捻った状態で30秒キープ
- 左右交互に3セットを目安に行う
食事の工夫
食事から睡眠の質を上げることで睡眠中の換気量が上がり、いびきを減らす効果があります。
朝食にトリプトファン(アミノ酸)が含まれるものを食べる
朝食から摂取したトリプトファンは約15時間かけて睡眠を促すメラトニンになります。
- バナナ
- 卵
- 納豆
- 味噌汁
ノンアルコールビールを飲む
ビールに含まれるホップやGABAは睡眠の質を上げる効果があると言われています。
但しアルコールは眠りを浅くするのでノンアルコールに限ります。
まとめ
睡眠時無呼吸症候群の症状、改善方法やセルフケアについて簡単にまとめてみました。
もっと詳しく知りたい方のために、おすすめの書籍も紹介しておきます。