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リンパ浮腫の予防と改善!乳がん手術後の自宅でできるリハビリ

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乳がんの手術後は病院でリハビリを行いますが、1~2週間経過して退院すると、自分でリハビリを行わなければいけません。

外来リハビリは毎日ではなく、抗がん剤治療で体調が悪いときは、通えないこともあるかと思います。

リハビリ方法については、病院で退院前に指導を受けると思いますが、補足として使える知識をまとめてみます。

乳がん手術後のリハビリについて

リハビリの対象者

乳がんで病院のリハビリテーションの対象となるのは、腋窩リンパ節郭清という手術を行った方です。

この場合、リンパ液の流れが悪くなりリンパ浮腫を起こしやすくなるので、リンパ浮腫の予防と肩関節の可動域改善を目的にリハビリを行います。

標準的なリハビリ目標

術後1~2日目

腕を前方、側方に40°程度上げることが目標です。

術後3日目

腕を前方、側方に45°程度上げることが目標です。

術後4日目

腕を前方、側方に45~90°程度上げることが目標です。

術後5日目

腕が前方に120°以上上がり、身の回りのことがほとんどできることが目標です。

ドレーンは平均5~6日で抜去されるので、その後は積極的に腕を上げる運動を行います。

リハビリを継続することで、術後6か月ごろには、手術前の90%ぐらいまで機能が回復すると言われています。

リハビリでの注意事項

腕が赤い、痛い、むくむという場合は、運動を続けることで症状が悪化する場合があります。

特にリンパ浮腫は進行が早いので、気付いたときは、すぐ主治医に相談して適切な対応をすることが重要です。

リンパ浮腫について

リンパ浮腫とは、がんの治療のリンパ節郭清や放射線治療が原因で起こる、腕や足の慢性的なむくみです。

乳がんの腋窩リンパ節郭清後にリンパ浮腫が起こる割合は、約10〜20%というデータがあります。

リンパ浮腫の進行度

リンパ浮腫は進行するに連れて様々な症状が現れます。

ステージ0

無症状でも、腋窩リンパ節郭清をすると必然的にリンパの流れが悪くなるので、むくみがいつ起きてもおかしくない状態になります。

ステージⅠ

むくみは軽く、指で押すとへこんだ痕が残ることもありますが、腕を上げると軽減する状態です。

日常生活では、服の袖や時計がきつく感じるなどの違和感を感じることがあります。

ステージⅡ

明らかなむくみがあり、腕を上げただけではむくみが改善しなくなります。

むくみの他にチクチクする違和感、物が握りにくい、腕の重だるさ、皮膚の圧迫感といった様々な症状が出てきます。

むくみによって皮膚の抵抗力が弱くなると、蜂窩織炎というひどい炎症が起こることもあります。

ステージⅢ

むくみがひどい状態で長期間経過すると、皮膚が繊維化して。象の皮膚のようにがさがさで硬くなります。(象皮病

リンパ浮腫の早期発見につながる健康管理

リンパ浮腫を早期に発見するためには、毎日の健康管理が大切です。

①体重測定

体重が増えるとリンパ浮腫が悪化することがあるので、食事管理は大切です。

②上腕の太さの計測

上腕(力こぶが出る部分)の太さをメジャーを使って、毎回同じ場所で測ります。

5〜10㎜以上増えたらリンパ浮腫の可能性があるので、主治医に相談して下さい。

③体温測定

患部の炎症が原因で発熱することもあるので、体調の変化を把握しておきます。

④肌の観察

炎症(発赤、熱感、腫脹)、傷、日焼け、虫刺されなど、むくみやむくみを悪化させる要因に注意します。

リンパ浮腫の基本的なリハビリ

リンパドレナージ

リンパドレナージとは、皮下のリンパ液を横にずらすように誘導して排出するマッサージのことです。

乳がんのリンパ浮腫では、健康な反対の腋窩リンパ節や鼠径リンパ節にリンパ液を誘導します。

そのため、鎖骨周辺や脇の下の柔軟性を保つことが重要になります。

運動療法

むくんでいる周辺の関節を動かすことで、柔軟性を高めたり、筋肉のポンプ作用を高めたりします。

但し、重いものを持ったり、やり過ぎたりしないように注意が必要です。

皮膚の清潔・保護

リンパの流れが悪くなると炎症を起こしやすくなるので、スキンケアを習慣にすることが大切です。

  • 保湿剤やクリームでこまめに保湿する
  • お風呂の温度を上げ過ぎない
  • 保存料や香料が含まれていない石鹸を使う
  • タオルで皮膚を強くこすらない
  • 洗剤を使うときはゴム手袋をする
  • 日焼け対策をする

弾性スリーブ

弾性スリーブで皮下を圧迫した状態で、運動や生活を行うことでリンパドレナージのような効果が期待できます。

弾性スリーブは、6か月に1回、16,000円を限度額として2着まで医療保険を使って購入することができます。

着用時の注意点

  • しわやよじれがないようにする
  • 破損があれば買い替える
  • 古くなったら買い替える(6か月が目安)

自宅でできるリハビリ

肩回し

肩回しは、鎖骨周辺や脇の下を柔らかくするのでリンパ浮腫の予防にもなります。

  1. 両肘を上げて手を肩に置く
  2. 前から後ろに両肩をゆっくり大きく10回まわす

肩のストレッチ

両腕を閉じたり開いたりすることで、肩周辺の筋力UPと脇の下のストレッチを行います。

頭の後ろまで手を上げることが難しい場合は、肩回しの方を重点的に行って下さい。

  1. 両手を頭の後ろで組む
  2. 顔の前で両肘を近づけるように腕を閉じて10秒キープ
  3. 両腕を広げて胸を張り10秒キープ

セルフリンパドレナージ

セルフリンパドレナージは、療法士が行うリンパドレナージを簡易的にしたものです。

  1. 患側の腕を上げて頭の後ろに手を当てる
  2. 片方の手で脇の下から鎖骨の下を反対の肩に向けて、リンパ液をゆっくり横にずらすように誘導する

まとめ

乳がんの手術後の管理やリハビリ方法について簡単にまとめてみました。

乳がんについてもっと詳しく知りたい方のために、おすすめの書籍も紹介しておきます。

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