乳がん手術後のリハビリ|自宅でできる運動とリンパ浮腫の予防法
乳がんの手術後は、病院でリハビリを行いますが、退院後はご自身でケアを続けていくことが大切になります。
しかし
「どこまで動かしていいの?」
「むくみが出たらどうすればいい?」
と不安になる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、退院後に役立つリハビリのポイントと具体的な方法を、わかりやすくまとめています。
乳がん手術後のリハビリについて
リハビリの対象になる方
特にリハビリが重要になるのは、腋窩リンパ節郭清(えきかリンパせつかくせい)を受けた方です。
この手術ではリンパの流れが悪くなりやすく、以下のリスクがあります。
- リンパ浮腫(腕のむくみ)
- 肩の動きの制限
そのため、
- リンパ浮腫の予防
- 肩関節の可動域改善
を目的にリハビリを行います。
術後の回復目安
回復には個人差がありますが、目安として以下のように改善していきます。
- 術後1〜2日目:腕を約40°上げる
- 術後3日目:約45°
- 術後4日目:45〜90°
- 術後5日目:120°以上(身の回りの動作が可能)
ドレーン抜去後(約5〜6日)からは、徐々にしっかり動かしていきます。
継続することで、約6か月で術前の90%程度まで回復するとされています。
リハビリでの注意点
次の症状がある場合は無理をしないでください。
- 腕の赤み
- 強い痛み
- むくみ
- 熱感
特にリンパ浮腫は早期対応が重要です。
違和感があれば、早めに主治医へ相談しましょう。
リンパ浮腫について
リンパ浮腫とは、リンパ節郭清や放射線治療の影響で、リンパの流れが悪くなり、腕などにむくみが出る状態です。
発生率は約10〜20%とされています。
進行の目安
ステージ0(予備軍)
まだ症状はないが、リスクがある状態
ステージⅠ(軽度)
- 軽いむくみ
- 腕を上げると改善
ステージⅡ(中等度)
- むくみがはっきりする
- 重だるさ、違和感
- 握りにくさ
ステージⅢ(重度)
- 皮膚が硬くなる(象皮様)
早期発見のためのセルフチェック
毎日のちょっとした確認が予防につながります。
✔ チェックポイント
- 体重の増加
- 上腕の太さ(左右差)
- 発熱
- 皮膚トラブル(赤み・傷・虫刺され)
上腕の太さが5〜10mm以上増加した場合は要注意です。
基本のリハビリ
リンパドレナージ(流れを促す)
リンパ液をやさしく誘導するマッサージです。
ポイントは、強く押さないこと(なでる程度)です。
運動療法
関節を動かすことで
- 筋肉のポンプ作用
- 血流・リンパの流れ改善
につながります。
「軽く・ゆっくり・継続」が大切です。
スキンケア
リンパ浮腫では皮膚トラブル=悪化の原因になります。
- 保湿をしっかり行う
- こすらない
- 日焼け対策
- 傷を作らない
弾性スリーブ
適度な圧迫により、むくみを予防します。
使用のポイント
- しわ・ねじれを作らない
- 古くなったら交換(目安6か月)
- 違和感があれば無理に使わない
自宅でできる簡単リハビリ
① 肩回し(まずはこれ)
血流+リンパの流れ改善に効果的な運動です。

方法
- 手を肩に置く
- 肘で大きく円を描く
- 前後10回ずつ
② 肩のストレッチ
胸・脇の下をしっかり伸ばします。

方法
- 頭の後ろで手を組む
- 肘を閉じる(10秒)
- 肘を開く(10秒)
※難しい場合は肩回しのみでOK
③ セルフリンパドレナージ
「押す」ではなく「なでる」イメージで行います。

方法
- 腕を軽く上げる
- 鎖骨(患側)〜反対側の脇(健側のリンパ節)へ流す
日常生活でのポイント
リハビリだけでなく、生活も重要です。
- 重い荷物は避ける
- 同じ姿勢を続けない
- 締め付けの強い服を避ける
- 長時間の下げっぱなしに注意
こうした生活の中で肩の動かしにくさを感じる方は、こちらも参考にしてください。
まとめ
乳がん手術後の回復には
- 継続したリハビリ
- リンパ浮腫の予防
- 日常生活の工夫
がとても重要です。
特に大切なのは「無理せず、でも止めないこと」です。
少しずつでも続けることで、確実に回復につながります。

