脳卒中や心臓病のリスク要因の一つに高血圧があります。
高血圧は、生活習慣が原因の本態性高血圧と病気が原因の2次性高血圧がありますが、今回は高血圧の90%以上を占める本態性高血圧についてお伝えします。

監修:西本 武史(医師・医学博士)
介護医療院グリーン三条施設長。広島大学医学部卒業後、脳神経外科医(脳神経外科専門医・脳卒中認定医)として急性期病院20年、回復期病院6年勤務。国立がんセンター研究所で2年半研究に従事。
高血圧について
一般的な高血圧は、生活習慣による血管の老化が原因なので、加齢とともに多くなり、60代では男性66%・女性62%が発症しているというデータがあります。
多くの場合、症状はなく、血圧上昇により頭痛やめまい、鼻血などがみられることもあります。
高血圧は合併症に注意が必要で、血管への負担が続くと動脈硬化が引き起こされます。
この動脈硬化が進行すると、脳卒中や心筋梗塞といった重篤な病気を発症することがあります。
高血圧の基準値
- 診察室での測定:140/90㎜Hg以上
- 家庭での測定:135/85㎜Hg以上
家庭での血圧は、起床後と就寝前に2回ずつ測定し、朝と夜それぞれの平均値を出します。
高血圧の主な原因
- 塩分の過剰摂取
- 塩分排泄量の低下
- 運動不足
- 精神的なストレス
- 喫煙
- ビタミンやミネラル不足
- 睡眠時無呼吸症候群
塩分排泄量の低下は加齢が原因で起こり、特に女性は更年期を過ぎると低下しやすくなります。
塩分排泄量は病院の尿検査で調べることができます。
一般的な治療
高血圧の疑いがある場合、必ず病院を受診し、高血圧の原因を明確にして医師の指示に従って治療します。
①生活習慣の改善
- 適度な運動
- 塩分を控えた食事
- 禁煙
- 節酒
- 肥満の改善(BMI25未満)
②降圧剤の服用
生活習慣の見直しで血圧が改善しない場合に、降圧剤を用いた血管の管理が行われます。
自宅でできるリハビリ
高血圧がある方は、病院で受けた指示の補足としてご活用下さい。
踵上げ
ふくらはぎの筋肉(ヒラメ筋、腓腹筋)は、「第2の心臓」と言われ、重力に逆らって血液を心臓に戻す役割があります。
そのため、ふくらはぎの筋肉を鍛えることは、血圧の安定に効果があると言われています。

- 両足を肩幅程度に開いて立つ
- ゆっくり踵を上げて10秒キープ
- ゆっくり踵を降ろす
ハーフスクワット
踵上げと同様にふくらはぎの筋肉を鍛えます。

- 両足を肩幅程度に開いて立つ
- 背すじを伸ばしたまま、膝が45°~90°程度曲がるまでゆっくり腰を下ろし10秒キープ
ウォーキング

有酸素運動を2か月続けると上の血圧が5~10下がり、運動を1か月やめると元に戻ると言われています。
運動量は1日30分以上が目安です。
食事の工夫
塩分を控える
高血圧治療ガイドラインでは、1日の塩分摂取量を6g未満に抑えることが推奨されています。
うどんやラーメンの汁を含む1杯分の塩分が約6gです。
- 食事の味付けを薄くする
- ラーメンの汁を残す
- 漬物や加工食品など塩分が多い食品を控える
カリウムが多い食物の摂取
カリウムは腎臓から塩分を体外に排出する働きがあるので、カリウムを豊富に含む食物の摂取は、高血圧の予防になります。
但し、腎機能の低下がある方は、カリウムを制限する必要があるので、必ず医師に相談して下さい。
- バナナ
- 切り干し大根
- ほうれん草
- 芋類(里いも、じゃがいも、さつまいも)
- 納豆
- 牛乳
- 豆乳
- しまなみリーフ
好みもあるとは思いますが、個人的には毎朝のバナナと牛乳が摂取しやすいように思います。
まとめ
高血圧の原因やリハビリ方法について簡単にまとめてみました。
もっと詳しく知りたい方のために、おすすめの書籍も紹介しておきます。