リハビリや介助では動かし方で対象者の安心感が変わり、動かす方の身体的負担も減ります。
今回は動かし方のポイントについて私の考えをまとめてみます。
リハビリ・介助での動かし方のポイント
- 対象者の呼吸に合わせて誘導する
- 対象者を手で引っ張って誘導しない
- 対象者の重心を崩さない
ここからは、上記に注意した誘導方法について一つずつ説明していきます。
①呼吸を合わせた誘導について
リハビリや介助では、対象者と呼吸を合わせることで対象者のリラックスした状態が分かるようになります。
また対象者の呼吸が乱れないように誘導することは、対象者を力みにくくします。
対象者の呼吸が不安定になる原因
- 痛み、恐怖心、不快感などによる緊張(防御性収縮)
- 介助量が足りないことによる代償運動(筋力不足を補う非効率な運動)
※恐怖心や不快感の原因は、持ち方や動かし方、介助量不足であることが多いように思います。
②身体を使った誘導について
対象者を動かす際、介助者が腕の力だけで動かそうとすると反発する力(防御性収縮)が起こり介助量が増えます。
身体の使い方のポイント
- 手掌を使って対象者の身体をしっかり持つ(虫様筋握り)
- 手や腕は固定し、体幹や膝を屈伸させて動かす
膝伸展ROMエクササイズの例
③重心を崩さない誘導について
動かすときは、介助者自身が重心をキープすることで、対象者も重心が崩れにくくなります。
対象者は、重心が崩れると身体が不安定になり恐怖心や不快感を感じます。
正面から誘導する悪い例では、介助者が前方重心になると対象者は後方重心、介助者が後方重心になると対象者は前方重心になります。
重心をキープするポイント
介助者が足底をしっかり着けた状態(母趾球、小趾球、踵の3点支持)で誘導するとお互いの重心が安定しやすくなります。
また、足底が着いた状態をキープできるように体幹や膝を使って誘導します。
安心感を表情から読み取る
痛み、恐怖心、不快感、呼吸の乱れなどを表情の変化から読み取ります。
ご本人が「大丈夫。」と言われても実際には痛みを我慢していることがあります。
不安そうな表情や痛そうな表情に気を付けて実施するだけで、対象者の安心感につながります。
まとめ
対象者が思った以上に重く感じる場合、検者・介助者の誘導に不安や恐怖を感じていることがあります。
持ち方、誘導方法に気を付けるだけで対象者の緊張が緩和し、介助量が軽減することがありますので、是非実践してみて下さい。
金子唯史著書「脳卒中の動作分析 臨床推論から治療アプローチまで」では、ハンドリングの10ポイントが書かれています。
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