関節可動域運動やストレッチで効果を上げるには、可動域の最終域でエンドフィールを適切に感じる必要があります。
しかし、エンドフィールが適切なのかが自分でわからないということはありませんか?
エンドフィールが分からない場合、強引なストレッチや効果の低いストレッチを行っている可能性があります。
今回は関節可動域運動やストレッチの精度をあげるために、エンドフィールについて考えてみたいと思います。
エンドフィールについて
エンドフィールとは
関節を他動的に動かしたときに最終域で感じられる抵抗感のことです。
最終域での抵抗感から問題の有無や問題の原因を推測することができるので、関節可動域運動やストレッチを行う上で重要な指標になります。
エンドフィールは正常な関節で感じられるものと、痛みや関節可動域制限に関連した異常なものに分けられます。
エンドフィールの種類
正常なエンドフィール
- 筋性:筋肉の表面が張るような抵抗感
- 靭帯・関節包などの周囲組織:深部がじんわりと伸びるような抵抗感
- 骨性:骨と骨が当たってガチっと止まる感覚
異常なエンドフィール
- 筋スパズム:防御性収縮、クローヌスなど運動に対して突然起こる抵抗感
- 無抵抗性:組織の感触ではなく痛みや恐怖心による制限
- バネ様遮断:半月板や関節円板など関節内の問題により、跳ね返されるような抵抗感(動かさない方がよい)
上記のことから軟部組織を伸張する際の適切なエンドフィールは、軟部組織が伸張する抵抗感があり筋スパズムによる抵抗感がない状態と言えるかと思います。
エンドフィールを感じる方法
適切にエンドフィールを感じるには、筋スパズムによる抵抗感と軟部組織の伸張による抵抗感とを区別できることが必要になります。
そのために私が重要視していることを5つ挙げて説明します。
①手の感覚
虫様筋が手のセンサーと言われているので、正しいフォームで手が力まないように対象者の身体に触れたり動かしたりします。
手関節の過度な背屈や掌屈、手指に力が入り過ぎると虫様筋が働きにくいのでエンドフィールが感じにくくなります。
防御性収縮による筋スパズムはセラピストの動かし方や身体への触れ方でも起こります。
緊張を与えたりオーバーストレッチになったりしないためにも手の感覚は大変重要です。
②適切な声掛け
不必要な緊張を与えると本来のエンドフィールが分かりにくくなります。
できるだけ緊張を与えないようにこれから何をするかの説明、身体に触れるときや動かすときの声掛けは大切です。
③制限因子となる組織をピックアップ
関節を動かす方向によって制限因子になりそうな筋肉、骨、靭帯、関節包などはある程度決まっています。
それらを前もって知っておくことで、手の感覚と合わせて制限因子が特定しやすいです。
④表情の観察
緊張や痛みは表情にでるので、常に表情を見ながら伸張します。
ある程度の痛みは我慢していることがほとんどなので、明らかに痛そうな表情をする前に気付くことが必要です。
不安そうな表情や緊張した表情など少しの表情の変化を見逃さないようにし、違和感を感じたときは痛みや不安がないかを聞くようにします。
⑤身体の観察
表情と合わせて身体の反応からも防御性収縮による緊張が起きていないかを評価します。
明らかな反応が出る前に、少しピクッと筋肉が収縮したような反応でも見逃さないように注意して動かします。
- 呼吸が止まったり浅くなったりする
- 骨盤や肩甲骨が引ける
- 四肢の過緊張
まとめ
エンドフィールに慣れるまでは、セラピストの主観的な感覚だけで判断すると間違いやすいです。
対象者からのフィードバックも踏まえて、自分の感覚があっているかを検証する作業を繰り返すことが必要に思います。