「前にかがんだときに背中に激痛が走り動けない」
「手を上げたときに背中にピキッとした痛みが走り、息をするのもしんどい」
このような症状はぎっくり腰ではなく、ぎっくり背中を発症しているかもしれません。
この記事では、ぎっくり背中の症状や原因、改善方法についてまとめてみます。
ぎっくり背中について
ぎっくり背中(筋筋膜性疼痛症候群)とは、背中の筋肉や筋膜の損傷により炎症が起きた状態です。
損傷しやすい筋肉は僧帽筋と菱形筋で、肩甲骨の内側や下側に痛みを感じることが多いです。
ぎっくり背中になりやすい動作
ぎっくり背中は背中の筋肉の柔軟性が低下した方が、背中を急に丸めたり反ったりしたときに起こりやすいです。
- 前屈みなど急に背中を丸めたとき
- 急に手を上げたとき
ぎっくり背中になりやすい方
運動不足や生活習慣で、背中の筋肉の柔軟性が低下するとぎっくり背中になりやすい状態になります。
- 長時間のデスクワークや立ち仕事など同じ姿勢での作業が多い
- 猫背や反り腰など背筋がこわばりやすい姿勢になっている
ぎっくり腰との違い
ぎっくり腰は腰椎に付着する深部の靭帯や筋肉の損傷ですが、ぎっくり背中は肩甲骨周囲の表面の筋肉や筋膜の損傷です。
ぎっくり背中の場合、組織の修復前にマッサージなどで背中の皮膚を刺激すると痛みを増悪させる可能性があります。
痛みは、ぎっくり背中が肩甲骨周辺のヒリヒリした痛みやピキッと刺すような痛み。ぎっくり腰は、腰椎周辺のズキズキした痛みや動いたときのビリっとする痛みが多いです。
ぎっくり背中(肉離れ)の回復期間
ぎっくり背中の回復期間は重症度によって異なります。
Ⅰ度:軽傷
回復の目安は1~2週間程度です。
軽傷は、筋繊維(筋腹)の微細損傷です。
通常はほとんど痛みがなく、受傷部を押したり伸ばしたりするとわずかに痛みを感じる状態です。
Ⅱ度:中等症
回復の目安は1~2ヵ月程度です。
中等症は筋繊維(筋腹より腱に近い部分)の部分断裂です。
皮下出血が起こり、自力で動けても受傷部に強い痛みを感じる状態です。
Ⅲ度:重症
回復の目安は3~6ヵ月程度です。
重症は筋繊維(中等症よりさらに腱に近い部分)の完全断裂です。
激しい痛みで自力で動くことも難しく、受傷部がくぼむなど手術が必要なこともあります。
受傷直後の対処法
安静
背中をつけると痛むので、必然的に横向きで休むようになるかと思います。
枕やクッションを使い、状態に応じてできるだけ安定した姿勢を取ります。
再発しないためには、痛めたときの動作を避けるまたは見直すことが重要です。
冷やす
発症から48~72時間を目安に、氷のうや湿布薬などで患部を冷やします。
どこで診てもらう?
病院か接骨院がおすすめです。急性の痛みなので保険適用になります。
一般的な治療
- 痛み止め(注射、内服薬)
- 湿布薬
- テーピング
- 超音波治療
自宅でできるリハビリ
背中の痛みが落ち着き、背中のこわばりや冷えを感じるようになると運動を開始します。
再発しやすい状態なので、痛みがない範囲でゆっくり動かして下さい。
背中のストレッチ
背中の筋肉の柔軟性と血流の改善を目的に、痛みがない範囲でゆっくり動かします。
- 息を吐きながらゆっくり背中を丸める(みぞおちをへこます)
- 息を吸いながらゆっくり肩甲骨を寄せて胸を突き出す
肩回りの筋トレ
腕を前に出すことで肩甲骨の内側の筋肉(菱形筋)を伸ばし、脇腹の筋肉(前鋸筋)や肩回りの筋肉(三角筋)を鍛えます。
- 両手を組んで息を吐きながら腕を前に出す(軽くみぞおちをへこます)
- 腕を前に出した状態で10~20秒キープ
肩甲骨の筋トレ
背中の肉離れが回復する時期は、背中の筋力強化をはじめます。
肩甲骨を寄せて下げる筋肉(僧帽筋)を鍛えることで肩甲骨の柔軟性と姿勢を改善します。
- 椅子の背もたれの後ろで両手を組む
- 両肘を伸ばし肩甲骨を寄せる
- 両肩が下がるように両腕を引き下げ10~20秒キープ
日常生活での注意点
背中の筋肉の柔軟性低下は、日常生活における背筋優位な体の使い方が原因です。
体の使い方を見直して再発を防ぎましょう。
仕事や家事で手を使う作業をする場合、肩甲骨を寄せた姿勢(左の絵)ではなく、肩甲骨を開いてみぞおちを軽くへこます姿勢(右の絵)にします。
みぞおちを軽くへこますことで、背筋よりも腹筋を優位に使う姿勢になります。
まとめ
ぎっくり背中の症状や原因、改善方法についてまとめてみました。
ぎっくり背中は、ぎっくり腰と区別して、適切な対処法で痛みを緩和することが回復への近道になります。
再発予防には、反り腰や肩甲骨の後退など背筋優位になっている体の使い方を見直すことが必要です。
不良姿勢の改善方法について詳しく知りたい方のために、おすすめの書籍も紹介しておきます。