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身体機能改善・動作獲得を早める!24時間コンセプトでリハビリを考える

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「なかなか生活が改善しない。」

「毎日同じリハビリを繰り返している。」

このように思うことはありませんか?

苦手な動作をただ反復練習するだけでは、ADLを拡大していくことが難しいかもしれません。

「歩けないと家で困るから歩行練習をする」

ではなく、日々変化する対象者の生活に合わせて機能やADLへアプローチすることで回復に向かいます。

また動作に必要な機能を高めることなく動作を練習した場合は、弱い筋肉を強い筋肉で補うことで動作を遂行する可能性が高くなります。(代償動作

この場合、無理な動作により弱い機能が更に弱り、スパズムによる痛みが出現するなど動作を維持することも大変です。

リハビリ効果を持続させるには、目標達成に必要な機能を1日の生活でなるべく多く使用するマネジメントが必要になります。

今回は24時間コンセプトでの日常生活のマネジメントについてお伝えできたらと思います。

24時間コンセプトについて

24時間コンセプトとは

 24時間コンセプトとは、機能的な回復を最大限にするために建設的な学習環境を促進することを狙いとした概念です。

基本的な考え方は以下のようになります。

  • 多職種と協力しながら、対象者の学習環境を準備する。
  • 学習段階についての自己責任に対する関心、およびリハビリテーションでの自主練習を推奨する。
  • 治療および日常の管理計画は、対象者のニーズに合うように総合的チームによってリハビリ段階に合わせて作成される。
  • ゴールとリハビリ計画は、対象者および家族との合意によって作成され、患者および家族の学習に応じて続けられる。

このように実施したリハビリが直接生活に結びつくようにすることで、毎日の生活の中でリハビリ効果の継続を図ります。

日常生活の中で弱った機能を持続的に使えるようになると、リハビリの間隔が開いても機能改善が可能です。

訪問リハビリや通所リハビリなど週に数回のリハビリでも効果の持続が期待できます。

日常生活動作(ADL)と身体機能について

24時間コンセプトに基づいたマネジメントを行うには、ADLと身体機能の関係をある程度知っておく必要があります。

セラピストが生活動作に関わる場合、筋肉へのアプローチが主になるかと思いますが筋肉には遅筋と速筋があります。

  遅筋(タイプI) 速筋(タイプⅡ)
筋の色
エネルギー源 脂質 糖質
代謝 有酸素 無酸素
パフォーマンス 持久力 瞬発力
パワー 弱い 強い
収縮速度 0.1 0.025
効果的な運動 低負荷、長時間 高負荷、短時間

それぞれに特性があり運動によって主となる筋肉が変わりますし、正常運動では遅筋から速筋の順で働くようになっています。(サイズの原理

リハビリでは主にADLの問題へ関わることが多いかと思いますが、ADLは瞬発力よりも持久力が求められるので遅筋の働きが重要になります。

遅筋が働く動作を簡単に説明すると、呼吸と姿勢が安定した状態での動作(有酸素運動)ということになるかと思います。

呼吸と姿勢は24時間常に必要な機能なので、ここと結びつけていくことでADLが拡大しやすくなります。

24時間コンセプトの活用

日常生活動作(ADL)の評価

ADLができるかできないかではなく、姿勢と呼吸が安定した運動(正常運動)に近づけていくために運動の質を評価する必要があります。

呼吸と姿勢の安定にはインナーユニットといわれる体幹の中心にある筋群の働きが重要になります。

インナーユニットとは

腹腔内圧を調整するなど姿勢の安定に重要な筋群。コアスタビリティとも言われる身体の土台となる部分。

横隔膜:呼吸に最も関係し胸郭と腹部の圧を調整する。

腹横筋:コルセット状に腹部を包み下部体幹を安定させる。

多裂筋:脊柱起立筋とともに脊柱を支える。

骨盤底筋群:下から上へ内臓を支え排尿・排便に関与する。

図:インナーユニット

インナーユニットに横隔膜が含まれていることから、呼吸と姿勢相関があることがわかるかと思います。

質的評価の観察ポイント

①呼吸パターン

負荷の少ない運動でも内肋間筋での呼気になるため、肩で息したり運動開始時や回旋運動時に呼吸が止まりやすくなります

腹筋群の機能低下や外肋間筋の萎縮でも内肋間筋が過度に働きやすくなります。

正常な呼吸

  • 吸気:横隔膜が下がり(収縮)、外肋間筋の収縮で胸郭を前後に拡げることで、肺が膨らんで吸気になる。
  • 呼気:横隔膜と外肋間筋が弛緩し胸郭を狭めることで呼気となるので筋活動はない。激しい運動では内肋間筋の収縮により呼気を行う。

呼吸は1日3万回と言われており、呼吸へのアプローチは身体機能改善の第一歩になります。

②姿勢

支持基底面と身体重心の関係が崩れます。

不良姿勢の例

  • 座位:仙骨、大腿骨頭での支持
  • 立位:足趾の浮指やクローイング
  • 歩行:狭い歩幅、広い歩隔

③運動パターン

負荷が少ない動作でも努力的な運動(共同運動)になります。

運動パターンの分類

  • 選択運動:日常生活など身体への負荷が少ないときは末梢から関節運動が起こる。
  • 共同運動:重いものを持つときなど四肢近位部の固定を強めて運動する。

④バランス戦略

少しの動揺で股関節戦略を使用します。

バランス戦略の分類

  • 足関節戦略(ankle strategy):少しの動揺に対する反応
  • 股関節戦略(hip strategy):大きい外乱に対する反応
  • ステッピング戦略(stepping strategy):非常に大きい外乱に対する反応

アプローチの考え方の例

対象者のニーズを踏まえて、生活で頻度が多い動作から優先的にアプローチすると生活が変わりやすいです。

例:ベッドの上での生活が中心の方

  • 寝返り:正常は就寝時で約20回
  • 食事:1日3回20〜30分程度
  • トイレ:1日5回以上(オムツの場合は1日5回程度交換)
  • 日中の活動:数時間テレビを見て過ごす

具体的なアプローチ

  • 寝返り:上肢でベッド柵を引きつけるのではなく体幹回旋で行う。
  • 食事、テレビ:坐骨で支持した座位が持続する。
  • オムツ:お尻上げが持続する。

など基本的な動作はどれもインナーユニットの活動が重要です。

安静時はもちろん、動作においてもなるべくインナーユニットの活動を持続させることでエネルギー効率の良い機能的な動作が増えます。

このようにできない動作よりもできる動作の質に着目する方が、自発的に身体機能を使うようになると思います。

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まとめ

24時間コンセプトでは、リハビリ時間以外の生活動作に反映されるように考えてアプローチすることで、機能回復や動作獲得を早めます。

長期的な目標を定めることも大事ですが、毎日少しづつ動きが変わることが重要に思います。

24時間コンセプトは、メアリ・リンチ・エラリントン他著書「英国ボバース講師会議によるボバース概念」に書かれています。

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