膝関節は加齢とともに機能低下や痛みを起こしやすく、リハビリでアプローチする機会が多い部位の一つではないでしょうか。

膝関節への介入では、スクリューホームムーブメント(Screw Home Movement)を理解することで、評価や治療の幅が大きく広がります。

今回は、スクリューホームムーブメントのメカニズムと評価、臨床への活かし方について整理してみたいと思います。

スクリューホームムーブメントとは

膝関節は

  • 大腿骨
  • 脛骨
  • 膝蓋骨

で構成されています。

機能的には蝶番関節(hinge joint)に近い関節ですが、実際にはわずかな回旋を伴うため、顆上関節(modified hinge joint)として分類されます。

膝関節の屈伸運動は、単純な回転ではなく
転がり(rolling)と滑り(sliding)の複合運動
によって成立しています。

屈伸運動の特徴

  • 屈曲初期:約0〜20°
     → 転がりが主体
  • 屈曲が進むにつれて
     → 前十字靱帯(ACL)の張力により滑りが増加
  • 深屈曲時
     → 滑り運動が主体

この転がりから滑りへ移行する過程で起こるのが、スクリューホームムーブメントです。

スクリューホームムーブメントの役割

つまり、スクリューホームムーブメントとは、
膝関節伸展最終域(約20〜30°)で起こる脛骨の外旋運動のことです。

この運動によって、

  • 膝関節が安定する
  • 立位を効率よく保持できる

という重要な役割を担っています。

また逆に、屈曲開始時には脛骨が内旋し、ロックが解除(unlock)されます。

この「ロック」と「アンロック」が、膝関節の効率的な運動を支えています。

スクリューホームムーブメントのメカニズム

この運動は、主に次の3つの要素によって生じます。

① 大腿骨顆の形状差

大腿骨内側顆は、外側顆よりも前後径が長い形状をしています。

そのため膝関節伸展最終域では、
外側顆の運動が先に止まり、内側顆の運動が続くことで、
相対的に脛骨が外旋するという現象が起こります。

これはスクリューホームムーブメントの最も基本的な要因です。

② 靭帯の張力(特にACL)

膝関節伸展に伴い、

  • 前十字靱帯(ACL)
  • 内側側副靱帯(MCL)
  • 外側側副靱帯(LCL)

が緊張していきます。

この靭帯の張力が脛骨の前方移動を制御しながら外旋方向へ誘導することで、伸展最終域の安定性が高まります。

③ 大腿四頭筋の作用

膝関節伸展には、大腿四頭筋の適切な収縮が不可欠です。

特に内側広筋(VMO)の働きは、

  • 膝蓋骨の安定
  • 膝関節伸展の最終域制御

に重要な役割を持ちます。

スクリューホームムーブメント破綻の原因

このメカニズムが破綻すると、

  • 伸展不全
  • 膝の不安定感
  • 疼痛

などが生じやすくなります。

主な原因として考えられるのは以下です。

膝関節局所の要因

  • 大腿四頭筋の筋力低下
  • 前十字靱帯の機能低下
  • 関節包の拘縮
  • 脛骨前方偏位
  • 半月板機能低下

股関節・体幹の影響

臨床では、膝だけでなく骨盤・股関節の安定性低下が背景にあることが多くみられます。

具体的には、

  • 腹筋群の筋力低下
  • 殿筋群(特に中殿筋)の筋力低下
  • 股関節外旋筋群の筋力低下
  • 縫工筋の機能低下
  • ハムストリングス短縮
  • 腸脛靭帯の過緊張

などが関与します。

これらによって

骨盤・股関節が不安定になる

下腿回旋の制御が破綻する

膝関節への負担が増加する

という連鎖が起こります。

ここは臨床上、非常に重要なポイントです。

スクリューホームムーブメントの評価

実際の臨床では、動きの中で評価することが重要になります。

基本評価(他動運動)

方法

  1. 端坐位で膝関節90°屈曲位から開始
  2. 大腿を固定
  3. 他動的に膝関節伸展を誘導
  4. 伸展最終域での脛骨外旋を確認

評価ポイント

  • 外旋が起こるか
  • 最終伸展が可能か
  • 抵抗感や疼痛の有無
  • 左右差

外旋が乏しい場合は、スクリューホームムーブメントの破綻が疑われます。

加えて必要な評価

スクリューホームムーブメントは、単独では成立しません。

そのため周囲の評価も重要になります。

① 膝関節アライメント評価

観察ポイント:

  • 膝蓋骨の位置
  • 脛骨粗面の位置
  • 下腿回旋

下腿外旋症候群(ニーイントゥーアウト)

  • 正常:膝蓋骨の直下に脛骨粗面
  • 下腿外旋症候群:膝蓋骨より外側に脛骨粗面

この所見は、膝関節ストレスの増加と関連します。

② 立位姿勢分析

変形性膝関節症(OA)では、次の2タイプがよく見られます。

骨盤前傾型

特徴:

  • 股関節屈曲位
  • 膝軽度屈曲位
  • 大腿四頭筋過活動

骨盤後傾型

特徴:

  • 体幹後方偏位
  • 膝屈曲位
  • 股関節伸展制限

この分類は、介入方針を決めるヒントになります。

③ 歩行分析

歩行では、スクリューホームムーブメントの解除(unlock)が重要になります。

正常歩行では、

  • 立脚後期:膝伸展
  • 遊脚初期:下腿内旋
    → 伸展ロック解除
    → 屈曲開始

この流れが崩れると、

  • 膝屈曲が遅れる
  • つまずきやすくなる
  • 膝痛が出現する

などの問題が起こります。

ラテラルスラスト歩行

変形性膝関節症では、
立脚初期〜中期に膝が外側へ動揺する
ラテラルスラストが観察されることがあります。

この所見は、内側コンパートメントへの負担増大を示唆します。

介入の基本的な考え方

スクリューホームムーブメントが破綻している場合、次の3点を優先的に考えます。

① 最終伸展の獲得

目的:伸展最終域を取り戻す

例:

  • 大腿四頭筋セッティング
  • ヒールプロップ
  • タオル押し運動

② 股関節機能の改善

目的:下腿回旋の土台を整える

例:

  • 中殿筋トレーニング
  • 股関節外旋筋トレーニング
  • 骨盤安定化運動

③ 回旋制御の再学習

目的:実用的な運動の中で回旋を制御する

例:

  • ミニスクワット
  • 立位荷重練習
  • 歩行練習

まとめ

膝関節の機能を考えるうえで、スクリューホームムーブメントの理解は非常に重要です。

特に重要なのは、

  • 伸展最終域の外旋
  • 股関節との連動
  • 歩行との関係

をセットで考えることです。

膝関節の問題は、膝だけの問題ではないことが多くあります。

今回の内容が、膝関節への評価や介入を考える際のヒントになれば幸いです。

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