膝裏の痛みの原因は様々ですが、外傷ではなく膝裏の筋肉に疲労が蓄積して起こる炎症を膝窩筋腱炎と言います。
この記事では、膝窩筋腱炎の症状や原因、改善方法についてまとめてみます。
膝窩筋腱炎について
膝窩筋腱炎は、膝裏の膝窩筋という筋肉の炎症によって起こります。
症状は、立ち上がりや歩行時の膝裏の痛み(収縮時痛)、膝裏の圧痛、膝関節の可動域制限、膝の不安定感などです。
膝窩筋の作用
- 下腿の内旋
- 膝関節の屈曲
- 脛骨(下腿)の過外旋を防いで膝関節を安定させる
膝窩筋腱炎の原因
- ランニング(特に下り坂)やジャンプなどの膝関節への反復的な負荷
- 長時間の座位による膝裏の血流低下
- 変形性膝関節症による膝関節への負担
- 反張膝による膝裏の緊張
- 下腿外旋症候群による膝窩筋の緊張
下腿外旋症候群とは
日常生活での座り方やスポーツでの膝の使い方などにより、大腿に対して下腿が外にねじれている状態です。
膝の屈伸が拙劣(スクリューホームムーブメントの崩れ)になるので膝への負担が増え、変形性膝関節症や鵞足炎などを引き起こすこともあります。
原因は、大腿筋膜張筋や腓腹筋外側頭の緊張、反り腰、外側(小趾側)荷重です。
その他の膝裏の痛み
半月板損傷
半月板損傷は、体重をかけた状態で膝を捻ったり衝撃が加わったりすることで起こります。
半月板は、加齢により傷付きやすくなるので高齢になるとわずかな衝撃や日常生活動作で損傷することがあります。
症状は、膝の痛みや腫れ、膝を動かしたときの引っ掛かり感、膝屈伸時のコキッとする音、膝がうまく動かせないといった症状がみられます。
後十字靭帯損傷
後十字靭帯損傷は、事故や転倒時に膝の上部が後方に押し込まれるような衝撃で起こります。
症状は、膝の痛みや腫れ、膝の不安定感です。
歩行時に膝が曲がらない、膝が「ポキッ」と音がするなどの症状が現れることがあります。
ベーカー嚢腫(のうしゅ)
ベーカー嚢腫は、膝裏にある関節液(滑液)という液体を含んだ滑液包が炎症を起こし膨らむことです。
症状は、膝裏の腫れや違和感、強い痛みはないですが膝を曲げてしゃがむときや正座をするときに痛みや可動域制限が起こります。
変形性膝関節症
変形性膝関節症は、加齢や膝への負荷により、軟骨がすり減って骨膜が炎症を起こすことで痛みが生じます。
症状は、膝の痛みや腫れ、こわばり、変形、水腫などです。
自宅でできるリハビリ
炎症が落ち着いたら痛みがない範囲で運動を行い、再発を予防します。
下腿の回旋運動
膝下の回旋運動により膝窩筋を鍛えます。
- 座位でつま先だけ少し上げる
- 膝下だけを内側と外側交互にゆっくり捻る
- 内側に捻った状態で5秒キープ
下腿の内旋ストレッチ
大腿の前面にある大腿四頭筋と下腿の内旋を制限する腓腹筋外側頭のストレッチにより下腿外旋症候群を改善します。
- 床に座りつま先が内側を向くように片膝を曲げる
- 両手を後ろに着き上体を後ろに傾ける
- できるだけ傾けた状態で20~30秒キープ
まとめ
膝窩筋腱炎の症状や原因、改善方法についてまとめてみました。
膝裏の痛みの原因は様々なので、まずは病院で原因を特定してもらうことをおすすめします。
膝の痛みについてもっと詳しく知りたい方のために、おすすめの書籍も紹介しておきます。