足を組むと鼠径部が痛い!大腿骨寛骨臼インピンジメント症候群(FAI)の原因とセルフケア
- 足を組んだとき
- 股関節を深く曲げたとき
鼠径部(股関節の付け根)が痛くなることはありませんか?
このような症状がある場合、大腿骨寛骨臼インピンジメント症候群(FAI)が原因の一つとして考えられます。
また、股関節唇損傷や変形性股関節症でも似た症状がみられるため、症状の違いを知ることも大切です。
この記事では、
- 大腿骨寛骨臼インピンジメント症候群(FAI)の原因
- 症状の特徴と見分け方
- 自宅でできるセルフケア
について分かりやすく解説します。
大腿骨寛骨臼インピンジメント症候群(FAI)とは?

FAIとは、大腿骨(太ももの骨)と骨盤の寛骨臼(股関節の受け皿)が繰り返し接触し、股関節の前面に痛みが生じる病気です。
骨同士がぶつかることで、関節唇や軟骨に負担がかかり、症状が続くと変形性股関節症へ進行するリスクもあります。
主な症状
次のような症状が特徴です。
- 鼠径部(股関節前面)の痛み
- 深くしゃがむと痛い
- 足を組むと痛い
- 車の乗り降りが痛い
- 靴下を履く動作が痛い
- スポーツ中に股関節が詰まる感じがする
これらの症状は、股関節を深く曲げたり、ひねったりする動作で現れやすいのが特徴です。
主な原因
FAIは骨の形態が関係しています。代表的なタイプは次の2つです。
Cam(カム)型
大腿骨頭の付け根が丸くなく、股関節を曲げたときに骨同士がぶつかります。
スポーツ経験者や若年男性に多くみられます。
Pincer(ピンサー)型
寛骨臼が大腿骨を覆いすぎているタイプです。
女性に比較的多く、両方が混在する「混合型」も少なくありません。
骨の形態に加えて筋肉の働きも重要です
FAIは骨の形態が関係する疾患ですが、同じような骨の形でも痛みがない人もいます。
そのため現在では、股関節周囲の筋肉の働きや身体の使い方も症状に影響すると考えられています。
- 股関節周囲筋の機能低下
- 深層外旋筋の働きの低下
- 中殿筋の機能低下
- 体幹の安定性低下
- 股関節の動かし方
股関節唇損傷・変形性股関節症との違い
股関節前面(鼠径部)の痛みは、FAI以外の病気でも起こります。
特に症状が似ているのが、股関節唇損傷と変形性股関節症です。
① 股関節唇損傷との違い

股関節唇損傷も、股関節を深く曲げたときや足を組んだときに痛みが出るため、FAIとよく似ています。
ただし、
- 股関節が引っ掛かる感じがする
- 「コキッ」と音が鳴る
- 股関節が一瞬動かなくなる(ロッキング)
このような症状がある場合は、股関節唇損傷が疑われます。
また、FAIが原因となって股関節唇を傷めることも少なくありません。
② 変形性股関節症との違い

初期の変形性股関節症も、鼠径部の痛みから始まることがあります。
一方で、進行すると、
- 歩き始めや長時間歩いた後に痛む
- 股関節が硬くなり、動きにくくなる
- 靴下やズボンが履きにくくなる
といった症状が目立つようになります。
変形性股関節症については、こちらの記事で詳しく解説しています。
症状だけで見分けるのは難しい
FAI、股関節唇損傷、変形性股関節症は、いずれも鼠径部に痛みが出るため、症状だけで見分けるのは簡単ではありません。
股関節を曲げたときの痛みが続く場合や、引っ掛かる感じ、動かしにくさがある場合は、整形外科で画像検査を含めた評価を受けることが大切です。
生活でのポイント
痛みが強い時期は、股関節前面への負担を減らすことが大切です。
日常生活では、次の点を意識しましょう。

- 痛みが出る股関節を深く曲げる動作やストレッチを行わない
- 足を組む時間をできるだけ減らす
- 低い椅子よりも少し高めの椅子を使用する
- 長時間同じ姿勢を避け、こまめに身体を動かす
- 痛みが強い日は無理にストレッチをしない
痛みを我慢して動作を続けると、股関節前面への負担が増え、症状が悪化することがあります。
痛みが出ない範囲で身体を動かすことを心掛けましょう。
自宅でできる運動
FAIは、股関節周囲の筋肉を適切に働かせることで、股関節への負担を軽減できる可能性があります。
研究では、股関節周囲筋の強化・体幹安定化・神経筋コントロールを組み合わせた運動療法が、保存療法の中心として推奨されています。
ここでは、自宅で取り組みやすい運動を2つ紹介します。
① ブリッジ

方法
- 仰向けで膝を立てます。
- 足裏全体で床をしっかり押します。
- ゆっくりお尻を持ち上げます。
- 肩・骨盤・膝が一直線になったら2〜3秒保持します。
- ゆっくり下ろす、10回を2〜3セット行う。
ポイント
- 親指・小指・かかとの3点で床を押すイメージ
- 腰を反らせない
- お尻だけで持ち上げようと力まない
- 呼吸を止めない
② 片足立ち(股関節周囲筋・体幹の運動)

方法
- 壁や机の近くに立ちます。
- 背筋を軽く伸ばし、片足をゆっくり床から離します。
- 骨盤が傾かないように意識しながら、その姿勢を保ちます。
- 左右それぞれ20~30秒を2~3セット行います。
ポイント
- 痛みが出ない範囲で行う
- 身体を左右に大きく傾けない
- 支えている足の膝とつま先を正面に向ける
- ふらつく場合は壁や机に軽く手を添える
運動を行う際の注意点
運動中に軽い筋肉の疲労感が出る程度であれば問題ありません。
しかし、
- 鼠径部の痛みが強くなる
- 引っ掛かる感じが強くなる
- 運動後も痛みが長時間続く
このような場合は無理をせず運動を中止し、整形外科や医療機関へ相談しましょう。
運動は「痛みを我慢して頑張る」のではなく、痛みのない範囲で継続することが改善への近道です。
このような場合は整形外科を受診しましょう
大腿骨寛骨臼インピンジメント症候群(FAI)は、まず運動療法や生活動作の改善などの保存療法が基本となります。
しかし、次のような場合は整形外科で詳しい検査を受けることをおすすめします。
- 痛みが3か月以上続く
- 歩くだけでも痛みがある
- 股関節が引っ掛かる、動かなくなる感じがある
- 夜間も痛みがある
- セルフケアや運動を続けても改善しない
必要に応じてレントゲンやMRIなどの画像検査を行い、FAIだけでなく股関節唇損傷や変形性股関節症なども確認します。
保存療法を3~6か月程度続けても症状が改善しない場合や、関節唇損傷が強く疑われる場合には、手術が検討されることもあります。
まとめ
大腿骨寛骨臼インピンジメント症候群(FAI)は、股関節を深く曲げたときや足を組んだときに、鼠径部が痛くなる代表的な原因の一つです。
この記事のポイント
- 骨の形態だけでなく、筋肉の働きや身体の使い方も症状に影響します。
- セルフケアでは、股関節への負担を減らしながら運動を続けることが大切です。
- 痛みや引っ掛かり感が続く場合は、整形外科で相談しましょう。
早めに原因を知り、適切なセルフケアや運動療法を行うことが、症状の改善につながります。
