「時間がなく、毎日同じような内容を書いてしまう。」

「書くことが多くて、うまくまとまらない。」

毎日のリハビリカルテを、ただの記録作業にしていませんか?

カルテは法律上の義務でもありますが、本来の目的は患者様の状態把握・検証・チームでの情報共有にあります。

カルテの意味とポイントを押さえ、他職種から見ても分かりやすい内容になれば、
チーム医療の質は大きく向上します。

この記事では、SOAP形式によるカルテ記載方法と、PDCAサイクルを意識した書き方についてお伝えします。

SOAPとは

SOAPとは、
問題指向型システム(POS:Problem Oriented System)
で用いられるカルテ形式の一つです。

問題指向型システム(POS)とは、
患者様の問題を明確にし、その問題解決を論理的に進めていくためのシステムです。

重要なのは、POSの目的は「記録」ではなく「問題解決」であるという点です。

患者様とご家族の問題解決を中心に、質の高い医療・ケアをチームで行うための仕組みです。

SOAP記載の基本原則

SOAP記載では、次の3つが重要になります。

正確性(Accuracy)

  • 事実や根拠に基づいて記載する
  • 推測だけで書かない


× 肩が良くなっている様子
○ 肩関節屈曲ROM 30°→45°に改善

簡潔性(Brevity)

  • 短く、簡潔に記載する
  • 長い文章は避ける

特に、接続詞(しかし・そして・そのため)を減らすと読みやすくなります。

明確性(Clarity)

  • 誰が読んでも理解できる表現にする。

他職種が読むことを前提に、専門用語の使いすぎに注意することが重要です。

各項目の基本内容

S(Subject):主観的情報

患者様や家族の言葉を中心に記載します。

主な内容

  • 主訴・愁訴
  • 本人の目標
  • 症状の変化
  • 生活上の困りごと
  • 治療への反応

O(Object):客観的情報

評価結果や実施内容など、事実として確認できる内容を記載します。

主な内容

  • 評価結果(ROM・筋力など)
  • 実施した治療
  • 観察された動作
  • 姿勢や代償動作

※考察はAで書きます。

A(Assessment):評価・考察

SとOをもとに、問題の整理と目標設定を行います。

主な内容

  • 問題点(優先順位)
  • 原因の考察
  • 短期・長期目標

P(Plan):計画

Aに基づいて、次の行動を明確にする部分です。

主な内容

  • 治療計画
  • 方法の追加・変更
  • 指導内容

PDCAサイクルを意識したSOAP記載

患者様のQOL向上には、チームで同じ目標を共有することが不可欠です。

私は、PDCAサイクルを意識してカルテを記載することで、目標達成に向かいやすくなると考えています。

S:目標に対する訴えを確認(Check)

  • 目標や問題に対する訴えを聴取
  • 前回との変化を確認


「夜間痛が減りました」

O:実施内容と結果(Do)

  • 量的評価(ROMなど)
  • 質的評価(代償動作など)
  • 実施内容

ROM屈曲45°
肩甲骨挙上は軽減
座位姿勢調整実施

A:分析と方向修正(Check・Act)

  • 問題点を整理
  • 5W1Hで目標設定
  • 必要なら方向転換

※セラピストが具体的に目標設定すると、チームが機能しやすくなります。

P:次の計画(Plan)

  • 治療方法の調整
  • 新しいアプローチの追加

同じ内容を繰り返している場合

→ 目標設定が不適切な可能性があります。

評価・再評価を活かす!リハビリ目標を達成するPDCAサイクルの回し方目標に対してリハビリ方法が適切かどうかを判断するには、仮説検証作業と仮説検証するための具体的な計画が必要になります。今回はPDCAサイクルとリハビリでの活用方法についてお伝えします。...

SOAP記載例

※臨床で使いやすいよう、短く・要点のみにしています。

初回介入時(テーマ:肩の痛みと睡眠)

S

50代女性、上腕二頭筋腱炎(発症1ヶ月)。
主訴:肩の痛みなく家事をしたい。
愁訴:夜間痛あり。
実施後:肩が少し楽。

O

夜間痛+
肩屈曲ROM30°(P+)
肩甲骨挙上あり
不良姿勢あり

実施:
ROMex(肩甲骨・肩屈曲)
姿勢調整(臥位・座位)
就寝時ポジショニング指導

A

問題:上腕二頭筋の持続的緊張

短期目標:
1週間で夜間痛軽減

長期目標:
肩関節安定化し家事可能

P

姿勢調整・ROMex継続
就寝姿勢指導継続

2回目介入(テーマ:肩の痛みと更衣動作)

S

夜間痛ほぼ消失
更衣時痛あり

O

夜間痛−
肩屈曲ROM45°(P+)
肩甲骨挙上改善
挙上保持は努力的

実施:
ROMex(肩外転追加)
座位姿勢調整

A

問題:挙上保持の不安定

短期目標:
5分挙上保持可能

P

ROMex継続
結帯動作練習追加

SOAPを書く前に考えておくとよいこと

カルテには直接書きませんが、次の2つを考えておくと、AとPが非常に書きやすくなります。

問題の順序立て

例:

① 夜間痛と睡眠
② 運動時痛とADL
③ IADLへの影響
④ 再発予防

予定外への備え

例:

夜間痛消失 → ROM評価へ
夜間痛残存 → 姿勢再評価

この準備があると、目標変更がスムーズになります。

よくあるSOAPの失敗

■ Oが長すぎる
→ 重要な内容だけに絞る

■ Aが曖昧
→ 問題を一つに絞る

■ Pが変わらない
→ 評価不足の可能性あり

まとめ

カルテは単なる記録ではなく、チームを動かすためのツールです。

他職種が理解しやすいカルテは、チームの方向性を一致させ、患者様のQOL向上につながります。

丁寧な記録は、他職種からの信頼にも直結します。

忙しい日々の中でも、
「問題 → 分析 → 計画」
を意識することで、カルテは大きく変わります。

そしてその積み重ねが、チーム医療の質を高める力になると考えています。

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