職場でこんな場面を見かけることはありませんか?
- リハビリ後、使用した物品が出しっ放しになっている。
- 普段使用することが少ない物品は、どこに置いたか分からなくなる。
- 使用した人によって片付ける場所が微妙に変わる。
- スタッフの机の上がいつも散らかっている。
何か心当たりがありましたか?
これは個人の責任のように感じられるかもしれませんが、私は職場環境を整えるシステムの問題だと思っています。
このシステムを4Sといいますが、リハビリの職場で4Sを実践されているところは少ないように感じています。
4Sとリハビリ技術は関係のないように思われるかもしれませんが、4Sは仕事の基本であり、セラピストの管理能力や段取り力を高めます。
今回は4Sと具体的な実施方法についてお伝えできたらと思います。
4Sについて
4Sとは?
職場を快適で安全なものにし、生産やサービスの効率化や品質向上を図るための活動です。
整理(Seiri)、整頓(Seiton)、清潔(Seiketsu)の3つのSに、清掃(Seiso)を加えた4つの頭文字から4Sと呼ばれています。
4Sにしつけ(Shitsuke)を加えて5Sとし、教育により4Sの維持、習慣化を図る考え方もあります。
4Sは仕事における最も基本の、最も小さな戦略と戦術と言われています。
日々の4Sからシステム作りやPDCAサイクルといった、仕事を効率化するための思考が鍛えられるように思います。
各項目について
①整理
必要と不必要なものを分けて、不必要なものを破棄することです。
保管しておく場合は期限を決め、期限がきたら破棄します。
②整頓
必要なものをいつでも誰でもが取り出せるように配置・収納しておくことです。
レイアウト変更、引き出しやファイルの中身がわかるようにしておくことなどになります。
③清掃
作業によるよごれやごみを掃除をして、点検することです。
④清潔
清掃された状態を維持管理することです。
清潔を常に考えることで①〜③の効率化につながります。
毎回の作業後に必要となる清掃の時間や頻度を減らし、本業の生産性が向上するほど良好なシステムといえます。
目的で機能する4Sのツボ
例題
リハビリ後、使用した物品がテーブルに置いたままになっていた。
目的が不適切な例
目的
テーブルをきれいにすること。
清掃
- 道具を片付けてテーブルを拭く。(Do)
片付いていない(What)を掃除(Do)で反応するための目的。
掃除をすること自体が目的となっており、本来重視するべき仕事の効率化について考えられていません。
出来事に反応するだけでは、根本的な解決とならず、同じことが繰り返される可能性が高いです。
これを手段の目的化といいます。
4Sという言葉は知っていても、決まった時間や頻度での清掃だけに捉われている職場が多いのではないでしょうか?
これでは個人の能力や性格に左右され職場環境が安定しません。
起きた現象にすぐに反応するほど、原因を考えることを忘れてしまいます。
実際のリハビリでも共通する思考のように思います。
目的が適切な例
目的
患者様の快適性、安全性とセラピストの生産性が向上する環境設定。
清潔
- なぜリハビリ終了時に片付けが難しかったのかを検討する。(Why)
- どうすれば効率化を図れるかを検討する。(How)
- 張り紙などスタッフの意思統一ができるように工夫する。
整理
- その日に必要な物品を把握しておくようにする。
- その日の業務の前やリハビリ実施前に必要な物品を分けるようにする。
- その日に必要のない道具は避けておくようにする。
整頓
- その日の流れや患者様に応じて使用する物品を取り出しやすくする。
- リハビリ中に患者様から離れることなく、道具が出し入れできるようにレイアウトを変更しておく。
- 収納場所が分かりやすくなるようにラベルを貼るなどする。
清掃
- 道具を片付けてテーブルを拭く(Do)
片付いていない(What)を 清潔(Why、How)で考える目的。
結果:毎朝の業務前、リハビリ開始前に整理・整頓しておくことで効率的にリハビリが実施でき、リスク管理にもつながります。
更にシステム化するには、いつ誰が行っても安定した結果が得られるように考えなければなりません。
起きた現象に対してWhy(なぜ)、How(どのように)で原因を考える習慣がリハビリでの思考にも役立ちます。
実際にはまず清掃を行ってから、考えるようになるかもしれませんが、清潔を意識することで、PDCAサイクルが回ることをご理解いただけたらと思います。
まとめ
日々の4Sを繰り返すことで、セラピストに必要なロジカルな思考が鍛えられます。
また4Sを徹底することは、患者様やスタッフ・環境への注意が磨かれるので、観察力が上がります。