物忘れと認知症の違い|アルツハイマー型・脳血管性認知症の特徴と接し方
「最近、物忘れが増えた気がする」
「同じことを何度も聞かれるようになった」
このような変化があると、「認知症ではないか」と心配になる方も多いのではないでしょうか。
しかし、年齢を重ねることで起こる物忘れと認知症による記憶障害は同じではありません。
この記事では、物忘れと認知症の違い、代表的な認知症であるアルツハイマー型認知症と脳血管性認知症の特徴、そしてご家族の関わり方について解説します。
認知症とは

認知症とは、脳の病気や障害によって認知機能が低下し、日常生活に支障が出ている状態を指します。
認知機能には、
- 記憶する力
- 判断する力
- 理解する力
- 計画する力
などが含まれます。
認知症になると、単なる物忘れだけでなく、買い物や金銭管理、服薬管理などにも影響が現れることがあります。
加齢による物忘れとの違い
年齢とともに記憶力が低下することは珍しくありません。

例えば、
- 朝食のおかずを思い出せない
- 人の名前がすぐに出てこない
といったことは加齢でも起こります。
一方、認知症では記憶そのものが抜け落ちることがあります。
加齢による物忘れ
- 体験したことは覚えている
- ヒントがあれば思い出せる
- 日常生活への影響は少ない
例:「朝ごはんは食べたけど、何を食べたか思い出せない」
認知症による物忘れ
- 体験そのものを忘れる
- ヒントがあっても思い出せない
- 生活に支障が出る
例:「朝ごはんを食べたこと自体を忘れる」
MCI(軽度認知障害)との違い
認知症の前段階として、MCI(軽度認知障害)と呼ばれる状態があります。
MCIでは物忘れはみられますが、日常生活はほぼ自立しています。
一方、認知症になると生活上の支障が目立つようになります。
MCIの段階で適切な運動や社会参加、生活習慣の改善を行うことで、認知機能の維持につながる可能性があります。
アルツハイマー型認知症の特徴

アルツハイマー型認知症は最も多い認知症です。
脳内に異常なたんぱく質が蓄積し、神経細胞が徐々に減少することで発症すると考えられています。
主な症状
- 新しい出来事を忘れやすい
- 同じ話を繰り返す
- 物を置いた場所を忘れる
- 日時や場所が分からなくなる
- 徐々に進行する
初期は物忘れが中心ですが、進行すると判断力や理解力の低下もみられるようになります。

例えば、
- 服を正しく着られない
- 料理の手順が分からなくなる
- 歯ブラシやリモコンの使い方に迷う
といった失行の症状が現れることがあります。
ご家族の関わり方
認知症の方は、わざと忘れているわけではありません。
「さっき言ったでしょう」
「何度も聞かないで」
と強く指摘すると、不安や混乱が強くなることがあります。
大切なのは、
- 否定しない
- 責めない
- 安心できる環境を作る
ことです。
同じ質問を繰り返された場合も、できるだけ穏やかに対応することが望ましいでしょう。
脳血管性認知症の特徴

脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害が原因で起こる認知症です。
アルツハイマー型認知症とは異なり、障害を受けた脳の部位によって症状が変わります。
主な症状
- 注意力の低下
- 集中力の低下
- 意欲の低下
- 段取りが苦手になる
- 歩行障害
- 手足の麻痺
- 症状にムラがある
また、脳梗塞を繰り返すことで、階段を下りるように段階的に症状が悪化することがあります。
例えば、
- 一つの作業に集中し続けられない
- 複数のことを同時に行うのが難しい
- 手順は分かっていても途中で止まってしまう
といった特徴がみられます。
ご家族の関わり方
脳血管性認知症では、
「できること」と「できないこと」
の差が大きい場合があります。
昨日はできたことが今日はできないこともあり、ご家族は戸惑いやすくなります。
しかし、本人も思うようにできないことに不安を感じています。
そのため、
- 急がせない
- 一つずつ説明する
- できることは自分で行ってもらう
ことが大切です。
また、歩行やバランス能力が低下している場合もあるため、転倒予防にも注意が必要です。
認知症の予防や進行予防のために
認知症を完全に防ぐ方法は確立されていませんが、認知機能の維持に役立つと考えられている習慣があります。

- 定期的な運動
- 人との交流
- 趣味や活動への参加
- 高血圧や糖尿病の管理
- 十分な睡眠
特に脳血管性認知症では、脳梗塞や脳出血の予防が重要になります。
まとめ
認知症による物忘れは、加齢による物忘れとは異なり、日常生活に支障をきたすことがあります。
アルツハイマー型認知症は新しい出来事を忘れやすいことが特徴で、脳血管性認知症は脳梗塞や脳出血が原因となり、注意力低下や歩行障害を伴うことがあります。
認知症の方への関わり方で大切なのは、できないことを責めるのではなく、不安に寄り添いながら安心できる環境を作ることです。
「最近少し気になるな」と感じた段階で医療機関に相談することが、早期発見・早期対応につながります。
