「子どもの頃に股関節脱臼だった」と言われたことはありませんか?

「赤ちゃんの頃に先天性股関節脱臼と診断された」
「治療したので問題ないと思っていた」
「大人になってから股関節や鼠径部が痛くなってきた」

このような方は少なくありません。

現在では、発育性股関節形成不全(DDH:Developmental Dysplasia of the Hip)という名称が使われることが多くなっています。

子どもの頃に治療が終了していても、大人になってから股関節の痛みや変形性股関節症につながることがあります。

この記事では、先天性股関節脱臼の後遺症、大人になってから痛みが出る理由、対処法について分かりやすく解説します。

先天性股関節脱臼とは?

股関節は、骨盤の「寛骨臼(かんこつきゅう)」という受け皿に、大腿骨頭がしっかり収まることで安定しています。

しかし先天性股関節脱臼では、次のような状態がみられます。

  • 股関節が外れやすい
  • 寛骨臼(受け皿)が浅い
  • 骨盤の受け皿が十分に発達しない

といった状態になります。

乳児期に治療されることが多く、リーメンビューゲル装具やギプス治療などで改善するケースもあります。

しかし、大人になってから症状が現れることがあります。

大人になってから後遺症が出る理由

最も多い原因は、寛骨臼が浅いまま成長してしまうことです。

股関節を支える面積が少ないため、

  • 軟骨への負担
  • 関節唇への負担
  • 股関節を支える筋肉への負担

が長年少しずつ蓄積していきます。

若い頃は症状がなくても、

  • 出産
  • 体重増加
  • 長時間歩く仕事
  • 運動量の増加

などをきっかけに痛みが出ることがあります。

よくある症状

代表的な症状には以下があります。

  • 鼠径部(足の付け根)の痛み
  • お尻の痛み
  • 太ももの前や横の痛み
  • 長く歩くと疲れる
  • あぐらがしづらい
  • 股関節が詰まる感じ
  • 靴下が履きにくい
  • 階段で痛む

初期では歩けるため、「年齢のせい」「筋肉痛かな」と思い込み、そのまま様子をみてしまうケースも少なくありません。

後遺症で起こりやすい病気

変形性股関節症

もっとも多い合併症です。

軟骨がすり減ることで

  • 動き始めの痛み
  • 歩行時痛
  • 可動域制限

などが現れます。

日本では変形性股関節症の原因として、発育性股関節形成不全が大きく関係しています。

変形性股関節症については、こちらの記事で詳しく解説しています。

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股関節唇損傷

股関節の縁にある関節唇に負担が集中すると、

  • 引っ掛かる感じがする
  • ゴリッとする音や違和感がある
  • 鼠径部が鋭い痛みが出る

といった症状が現れることがあります。

股関節周囲の筋肉の負担

股関節を安定させようとして、

  • 中殿筋
  • 大腿筋膜張筋
  • 腸腰筋
  • 内転筋

などが頑張り続けることで慢性的な張りや痛みにつながることがあります。

痛みが出たらストレッチだけで改善する?

ストレッチだけでは改善しないことも少なくありません。

筋肉が硬くなる原因は、股関節を安定させるために筋肉が頑張りすぎているからです。

無理に筋肉を伸ばすだけではなく、

  • 股関節に負担の少ない動きを身につける
  • 深部体幹筋(コア)を働かせる
  • 股関節深層筋を使いやすくする

ことが重要になります。

日常生活で気を付けたいこと

痛みがある時は、股関節への負担を減らすことを意識しましょう。

深くしゃがみ込まない

股関節を深く曲げる姿勢では関節への圧力が高くなります。

足を組み続けない

左右どちらかの股関節に負担が偏りやすくなります。

体重管理

体重が増えるほど股関節への負担も増えます。

適度な運動と食事管理も大切です。

自宅でできる運動

股関節周囲の筋力を鍛えるおすすめの運動をご紹介します。

股関節や鼠径部に痛みが強く出る場合は中止しましょう。

① 片足立ち

中殿筋や股関節周囲の筋肉を働かせる運動です。

方法

  • 壁や机に軽く手を添える
  • 背筋を伸ばす
  • おへそを軸足の真上にゆっくり移動させる
  • そのまま10〜20秒保持
  • 左右3〜5回ずつ

ポイント

  • 身体が横へ倒れないようにする
  • 骨盤が大きく傾かないようにする
  • お尻の横が軽く働く程度で十分

② ブリッジ運動

お尻や体幹を同時に鍛えられる運動です。

方法

  • 仰向けになる
  • 膝を立てる
  • お尻をゆっくり持ち上げる
  • 3〜5秒保持
  • ゆっくり下ろす
  • 10回を2〜3セット行う

ポイント

  • 腰ではなくお尻を使う意識
  • 息を止めない
  • 痛みがない範囲で行う

病院を受診した方がよい症状

次のような場合は整形外科の受診をおすすめします。

  • 安静でも痛い
  • 夜間痛がある
  • 歩けないほど痛い
  • 急に痛みが強くなった
  • 足を引きずるようになった
  • 股関節が急に動かなくなった

レントゲンでは股関節形成不全や変形の程度を確認できます。

まとめ

子どもの頃に先天性股関節脱臼の治療を受けていても、大人になってから股関節の痛みが出ることがあります。

特に股関節の受け皿が浅い場合は、長年の負担によって変形性股関節症などにつながることがあります。

痛みを改善・予防するためには、次のようなことが大切です。

  • 股関節に負担をかけにくい身体の使い方を身につける
  • 体幹や股関節周りの筋肉をバランスよく働かせる
  • ストレッチだけに頼りすぎない

痛みが続く場合や日常生活に支障がある場合は、早めに整形外科を受診し、原因を確認して適切な治療を受けましょう。

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