脳梗塞・脳出血(以下脳卒中)発症後は、麻痺や高次脳機能障害などの後遺症が残りやすいため「自動車を運転をしてもいいのか?」心配になる方は多いかと思います。
脳卒中発症後であっても、運転免許センターで適性検査を受け、問題がなければ自動車運転を再開できます。
今回は脳卒中後の自動車運転再開までの流れをまとめてみます。
監修:西本 武史(医師・医学博士)
介護医療院グリーン三条施設長。広島大学医学部卒業後、脳神経外科医(脳神経外科専門医・脳卒中認定医)として急性期病院20年、回復期病院6年勤務。国立がんセンター研究所で2年半研究に従事。
運転再開時の適正検査について
平成26年の道路交通法改正で「一定の病気等に該当する運転者対策を推進するための規定の整備」が行われました。
一定の病気等に該当する方は運転免許取得や更新時に、健康状態について運転免許センターに申告することが義務化されています。
脳卒中発症後、免許更新前に自動車を運転したい場合は、運転する前に運転免許センターに問い合わせて適性検査を受けるということになります。
一定の病気とは
- 脳卒中
- てんかん
- 再発性の失神・無自覚性の低血糖症
- 躁うつ病
- 重度の眠気の症状を呈する睡眠障害
- 認知症
- その他安全な運転に支障があるもの
自動車運転再開までの流れ
自動車運転の可否は、医師の診断書と適正検査により運転免許センターが最終判断を行います。
①主治医に診断書の作成を依頼する
まずは主治医に相談し、麻痺や高次脳機能障害の状態が自動車運転に支障をきたさないかを診てもらいます。
運転再開の許可が得られたら、運転免許センターに提出する診断書を作成してもらいます。
診断書の用紙は、本人が運転免許センターまたは警察署でもらって病院に渡します。
②運転免許センターの適正検査を予約する
診断書が完成したら運転免許センターに連絡し、臨時適正検査の予約を行います。
③運転免許センターの適正検査を受ける
医師の診断書と適性検査により運転再開の可否を判断してもらいます。
結果は、1ヶ月程度で自宅に書類が郵送されます。
適性検査の主な内容
検査の内容は状態によって異なります。
- 視力検査
- 聴力検査
- ドライブシュミレーター:理解、記憶、ペダルの操作など
- 原付や二輪がある場合は、その操作の確認
適性検査で運転不可の場合
脳卒中後の適性検査で免許取消となっても、3年以内に機能が回復すれば、再取得時の学科と技能試験は免除になります。
まとめ
脳卒中後の自動車運転の再開は、個人の判断で行わず、必ず主治医の診察と運転免許センターの適性検査を受けて下さい。
医療従事者も脳卒中後遺症の方が安全に運転を再開できるように、状態を見極めるだけでなく、自動車運転再開の流れも知っておく必要があります。
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