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作業療法に活かすアフォーダンス理論!臨床での実践ポイント

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リハビリの現場では、対象者に運動や作業を一方的に押し付けるのではなく

「どうすれば自然に動作を引き出せるか」

が重要なテーマになります。

たとえば、手すりを見れば「つかまって歩けそう」と感じたり、椅子の前に靴があれば「座って履こう」と思えたりします。

このように、環境が人に行動のきっかけを与えることがあります。

心理学者ギブソンが提唱したアフォーダンス理論は、この「環境が行動を誘発する仕組み」を説明する理論です。

この記事では、この理論をわかりやすく紹介し、リハビリでの活用方法を具体例とともに考えてみます。

アフォーダンス理論とは

提唱者:アメリカの心理学者 J.J.ギブソン(James Gibson, 1979年)

[定義]
人は環境を「物理的特徴」ではなく「自分にとって何ができるか(行為の可能性)」として知覚する、という考え方です。

  • 椅子 → 「座れるもの」
  • ドアノブ → 「回して開けられるもの」
  • ペン → 「書けるもの」

このように、人は対象物が持つ"利用可能性(affordance)"を直感的に感じ取って行動しています。

なぜリハビリで役立つのか?

指示するよりも「環境で誘導」できる

リハビリでは「手を伸ばしてください」「足を上げてください」といった言葉での指示が多く使われます。

しかし、理解が難しい方や動作への抵抗が強い方にとっては、指示そのものが負担になることもあります。

アフォーダンスの視点を取り入れると、環境そのものが自然に動きを引き出してくれるため、口頭の指示に頼らなくても行動が生まれます。

本人の「自発性」を引き出せる

リハビリのもう一つの課題は、「やらされている」という感覚をなくし、本人が自分から動こうと思えるかどうかです。

アフォーダンスを活用すれば、行動のきっかけを環境から自然に得られるため、「やらされている」のではなく「自分からやってみよう」と思いやすくなります。

そのため、アフォーダンス理論を用いた関わりは、意欲の向上にもつながります。

アフォーダンスを取り入れることで、本人の自発性が引き出され、意欲を高めることができます。

さらに、対象者の状態や気持ちに合わせた関わりがしやすくなり、結果として信頼関係の構築にもつながります。

活用の基本

活用するときの基本は、主に3つです。

①環境を調整する

運動を誘発する環境設定や道具の選定を行います。

道具は、本人の行為に必要なものや興味・関心があるものを選ぶことで、自発的な行為につながります。

②自然な行為の引き出し

指示や説明を最小限にしても、対象者が自ら「できる」「やってみたい」と感じて動けるような環境や状況を整えます。

③本人の能力に合った affordance を設定

高齢者や障害のある方には「届きやすい高さ」「掴みやすい形」「使い方がすぐわかる馴染みがあるもの」など、状態に合わせて道具の選定や環境設定を行います。

リハビリの具体例

高齢者リハビリ

高齢者のリハビリでは、歩行能力の維持・改善、転倒予防が目的になることが多いです。

アフォーダンスを意識した環境づくりは、自然に動きを促しながら転倒予防にもつながります。

  • 廊下に手すりをつけると「つかまって歩ける」安心感が生まれる
  • 段差に色テープを貼ると「足を上げよう」と思える
  • 椅子やベッドを立ち上がりやすい高さに調整すると「立ってみよう」と感じやすい

言葉で「気をつけて歩いてください」と指示するより、環境が自然に動作を引き出してくれます。

片麻痺のリハビリ

脳卒中後の片麻痺リハビリでは、麻痺側を使うきっかけをつくることが課題です。

アフォーダンスを利用すると「つい手を伸ばしたくなる」「足を出したくなる」環境を整えられます。

  • 麻痺側の手元にコップを置くと「手を伸ばして取れる」
  • コインや洗濯ばさみを渡すと「つまんでみよう」と動きが誘発される
  • 足元に踏み台を置く「足に体重をかけてみる」「足を上げてみる」と動きが誘発される

強制的な運動ではなく、日常動作に近い流れで麻痺側を活用できるのがポイントです。

認知症リハビリ

認知症の方には、言葉での説明や指示よりも「目で見てわかる」「触ってみたくなる」環境が効果的です。

アフォーダンスを利用することで、会話や行動のきっかけを生み出せます。

  • アルバムを机に置くと「めくって見たい」「写真について話したい」という気持ちになる
  • 昔使っていた道具(裁縫、書道など)を置くと「触ってみたい」「使ってみたい」と動きが生まれる
  • ペットボトルや新聞を手に届く位置に置くと「握る」「両腕を開く」などの動作が引き出される

「やらされるリハビリ」ではなく、「やりたくなるリハビリ」につながります。

在宅リハビリ・環境設定

在宅でのリハビリや生活支援では、日常生活の場面にアフォーダンスを取り入れると、自立支援や習慣づくりに効果があります。

  • 玄関に椅子を置いておくと「座って靴を履こう」と思える
  • 冷蔵庫の見える位置に水を置くと「飲もう」と思い出せる
  • ベッドの近くに椅子とテレビを置くと「座って過ごしたくなる」ことで離床が習慣化する

このような小さな工夫が、日常生活を通じたリハビリにつながります。

セラピストの想定と違う動きでも、危険がなければ、その人から自然に生まれた動きを尊重します。

動きを変えたいときは、道具や環境を工夫してサポートします。

まとめ

アフォーダンス理論をリハビリに活用することで、以下のようなメリットがあります。

  • 指示ではなく環境で自然に動作を引き出せる
  • 本人の自発性が高まり、やる気や習慣化につながる
  • 高齢者、片麻痺、認知症、在宅と幅広い場面で活用できる

「環境の工夫でリハビリはもっと楽しく、続けやすくなる」

これがアフォーダンスを活用する大きな価値です。

ぜひ、日々のリハビリや生活環境の工夫にアフォーダンスの考え方を取り入れてみてください。

小さな工夫が、大きな自立支援や生活の質の向上につながります。

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