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リハビリが続く人の共通点は「成功体験」!やる気を引き出すウォンツ視点の関わり方

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「リハビリが必要だけど取り組めない」「継続できない」という方にどのように関わっていますか?

セラピストは、身体機能やADL動作の改善など専門的なニーズ(必要性)ばかりに焦点を当てがちです。

しかし、利用者が意欲を持ち、運動に前向きに取り組むためには、”ウォンツ(願望)”=その人が本当に望むことに目を向ける必要があります。

この記事では、セラピストが利用者と関わる上で知っておきたい「ニーズとウォンツの違い」や「ウォンツを重視した関わり方」について、実例を交えてまとめます。

ニーズとウォンツの違いとは?

ニーズ(必要性)

生命や生活の維持に関わる”本質的な欲求”です。本人が意識していなくても、本来は必要なものになります。

例)

  • 歩行や生活動作を改善したい
  • 腰痛や膝痛をどうにかしたい
  • 寝たきりや転倒を防ぎたい
  • 術後にリハビリをしたい

→「このままでは生活に支障がある」「将来困る」

ウォンツ(欲求・希望)

個人の価値観やライフスタイルからくる”具体的な願望”です。ニーズに対する解決方法として表れることが多く、本人が自覚しています。

例)

  • 孫の結婚式に参加したい
  • 自分で買い物に行きたい
  • 畑仕事を再開したい
  • 趣味の書道をやりたい

→「どうなりたいか」「どんな方法で受けたいか」

ニーズ:できなければ困ること
ウォンツ:できたらうれしい嬉しいこと

ウォンツを重視する理由

リハビリはニーズに応えるだけでは「生活の維持」止まりになりやすく、ウォンツに寄り添うことで生活の質(QOL)や意欲が高まり、効果につながることが多いです。

リハビリの成果を利用者が自覚し、実感して喜べるのはウォンツが叶った時です。

①「自分ごと」なので行動が続く

✖「歩けるようにならなければ」ではなく
◎「友達と旅行に行きたいから膝を治したい」

→行動のモチベーションが内側から湧き、継続できる

②「できた!」という成功体験になる

「座って食事ができた」「棚に手が届いた」

→小さな成功でも、達成感が生まれる

③喜びの感情が伴うと脳に成功体験として強く刻まれる

単なる機能回復よりも、達成感やうれしさが記憶に残る

→自己肯定感が高まり、人にも喜びを伝えたくなる

ウォンツだけに偏るのはダメ

ウォンツだけに偏ると本質的なニーズとずれることがあります。

「マッサージをして欲しい」などそのときの欲求だけに対応すると、今後につながらない介入になっていまします。

◎リハビリではウォンツをきっかけにして、ニーズに導くことが理想です。

介入の具体例

●ケース:膝が痛くて歩くのがつらい高齢女性

【よくある状況】

  • 病院で加齢による変形性膝関節症と診断
  • 杖を使って歩けるが痛みがある
  • 本人の訴え「歩けないと困る」

【ウォンツを重視した対応例】

th「今日はどうされましたか?」

Pt「膝が痛くて歩くのがつらいです」

th「それはつらいですね。どんなときにどこに1番痛みが出ますか?」

Pt「足に体重をかけると膝の内側が痛みます」

th「それでは膝の状態をみていきますね。どのぐらい歩けたらうれしいとかはありますか?」

Pt「実は来月お墓参りに行きたいんです。お墓まで歩けるかが不安で…」

th(提案と目標設定)「それは大事な用事ですね。膝の痛みを和らげてお墓まで安心して歩けるように進めていきましょうか?」

【リハビリ中の工夫】

  • 最終目標をお墓までの距離に設定し、屋内から屋外移動へと徐々に距離を伸ばす
  • 短期目標を「居間からトイレまで痛みなく歩く」「玄関の上がり框を痛みなく昇り降りする」など具体的な目標にすることで成功体験を積み重ねる
  • 筋トレを歩く準備として意味づけする

【結果】

  • 段階的な目標を達成する成功体験と自信
  • 自分の思いや価値観を大切にしてもらえているという安心感

ICFでニーズとウォンツを結びつける

ICF(国際生活機能分類)を活用するとニーズとウォンツを結び付けて考えやすくなります。

【ニーズとウォンツを項目で分ける】

  • ニーズ:心身機能・身体構造、活動
  • ウォンツ:参加

ICFの参加は「個人が生活や社会的な場面と関わること」を意味し、具体的には以下のような活動が含まれます。

  • 家族・地域との交流
  • 余暇活動(旅行・趣味・スポーツ)
  • 仕事・ボランティア活動
  • 宗教的・文化的な活動
  • 地域行事への参加

参加を決めるときの注意点

参加がウォンツになるには、本人の価値観や希望と結びついたときです。

セラピストの価値観で「旅行に行けるようになりましょう」と提案しても、本人にその意思がなければウォンツになりません。

ウォンツを引き出す関わり方

本人のウォンツが表面化しにくい場合、以下のような工夫も必要です。

  1. 生活や顔の体験に結びつけた具体的な質問で掘り下げる
  2. 過去の楽しかったことや好きだったことをたどる
  3. 表情・仕草・声のトーンなど興味を示す非言語的なサインに注目する
  4. 選択肢を示して意向を引き出す
  5. 本人が選ぶ関わり方で主体性を引き出す
  6. 家族や介入する他職種から生活の中のヒントを得る
  7. ウォンツは意欲や状態により変わるものと捉える

▼ウォンツを重視したICFの使い方▼

まとめ

ウォンツをきっかけにニーズに導く関わり方についてまとめてみました。

  • ニーズとウォンツの違いとは?
  • ウォンツを重視する理由
  • ICFでニーズとウォンツを結びつける

リハビリにおいて、ニーズは重要な評価項目ですが、それだけでは利用者の行動変容は引き出しにくいことも多々あります。

むしろ「旅行に行きたい」「畑仕事がしたい」「買い物に行きたい」といったウォンツに寄り添うことで、行動に意味が生まれ、継続的な取り組みにつながります。

セラピストに求められるのは、「ニーズを満たすだけの専門職でなく」、「その人の人生の質を支えるパートナー」であることだと思っています。

短時間で全体像を把握する!ICF(国際機能分類)をリハビリで活用する方法リハビリでICFを活用することはプラス面を有効利用して、負担の少ないリハビリが提供できるように思います。但し実際には学生のとき以来活用していない方がほんどではないでしょうか?今回は臨床でのICFの活用方法について考えてみたいと思います。...
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