「産後、体に違和感がある…」
「骨盤が崩れていないか気になる…」
そんな悩みはありませんか?
腰痛や肩こり、下腹のぽっこりは、骨盤の開きや歪みが原因かもしれません。
この記事では、妊娠・出産で弱くなったインナーユニットを鍛えて、無理なく骨盤を整える方法を、作業療法士がわかりやすく解説します。
産後の骨盤矯正について
産後の骨盤矯正は、妊娠と出産によって開いたり歪んだりした骨盤を、元の状態に整えるための施術です。
産後に骨盤が開く主な原因は、妊娠中から出産にかけて分泌される「リラキシン」というホルモンと、出産時にかかる骨盤への大きな負荷です。
リラキシンは骨盤の靭帯や恥骨結合を緩め、赤ちゃんが通りやすくなるように働きます。
骨盤矯正の方法は施術者によって異なり、マッサージ・ストレッチ・筋トレ、骨盤ベルトなど様々です。
私は、妊娠・出産で著しく弱るインナーユニットの筋力強化を重視しています。
※インナーユニットとは、腹横筋・多裂筋・横隔膜・骨盤底筋群の4つの筋肉の総称で、姿勢や呼吸を安定させる重要な役割があります。

産後の骨盤矯正で期待できる効果
- 腰痛・肩こり改善
- 尿もれの改善
- 姿勢の改善
- 足のむくみや冷えの改善
- 便秘の改善
骨盤矯正を始める時期
●自然分娩の場合:1ヵ月検診後からの開始がおすすめ
●帝王切開の場合:2ヵ月を目安に傷口の回復具合を医師に確認してから開始
骨盤ベルトの着用について
骨盤ベルトは、リラキシンの影響で骨盤が不安定な時期に、腰への負担を軽減する効果があります。
私のところでは出産直後~1ヵ月ほど着用し、骨盤矯正を始めたら外すことを推奨しています。
骨盤ベルトはあくまで筋肉の補助であり、長期間の使用は骨盤まわりの筋力アップの妨げになります。
妊娠・出産で起こる筋力低下
妊娠中に起こる筋力低下

妊娠中は、子宮が大きくなるにつれて、骨盤底筋群が常に伸ばされた状態になり、尿漏れや頻尿などが起こりやすくなります。
また、妊娠中や産後は、胎児の成長により腹横筋や腹直筋が引き伸ばされ、腰が反って多裂筋が働きにくくなるので、腰痛を引き起こしやすくなります。
呼吸は、子宮が大きくなることで横隔膜の運動が制限され、胸式呼吸になるので産後は腹式呼吸に戻すことが望ましいです。
自然分娩で起こる筋力低下
自然分娩では、赤ちゃんが産道を通る際に、骨盤底筋群が大きく引き伸ばされたり、損傷を受けることがあります。
骨盤底筋群の弱化や損傷は、尿もれや子宮脱、直腸脱などの原因になることがあります。
帝王切開で起こる筋力低下
帝王切開では、腹横筋や腹直筋を切開するのでお腹に力が入りにくくなります。
腹筋群は妊娠中にも引き伸ばされており、著しい弱化は腰痛、ぽっこりお腹の原因になります。
妊娠・出産では、姿勢と呼吸を支える”身体の土台”インナーユニットに大きな負担がかかります。
産後の骨盤チェック
立ち上がりテスト
立ち上がりテストは、足腰の筋力を評価することができます。

20㎝の台(踏み台)、40㎝の台(普通の椅子)から反動をつけずに、片足で立ち上がれるかでチェックします。
内ももの筋力チェック
インナーユニットは、内ももの筋肉(股関節内転筋群)と連動して働くので、内ももの筋肉の働きから状態がある程度分かります。

仰向けに寝た状態でチェックします。
- 両足が自然に開き、つま先が外に倒れる
- 意識して両足を閉じても内ももに力が入りにくい
自宅でできるリハビリ
反り腰改善トレーニング

- 椅子などにつかまって立つ
- お腹を凹ますようにして両方のつま先を上げる
- お腹やお尻に力が入るようにつま先を上げたまま30秒キープ
※お尻を後ろに突き出さないように行う。
ながら内ももトレーニング

食事中やテレビを見ている時、両膝でボールを軽く挟んだまま5分キープ
ながら段差昇降

テレビを見ながら20㎝の踏み台を昇り降りします。
- 息を吐きながら「1、2」で昇る
- 息を吸いながら「3、4」で降りる
※軸足のお尻を横に振らないように注意し、振り出す方の骨盤をしっかり持ち上げる。
立って靴下を履く

片足で立ち、両手で靴下を持って履きます。
軸足は、踵・親指の付け根・小指の付け根の3点で支えます。

まとめ
妊娠・出産で弱くなった骨盤まわりの筋肉のチェックや鍛える方法についてまとめました。
- 産後の骨盤矯正について
- 妊娠・出産で起こる筋力低下
- 産後の骨盤チェック
- 自宅でできるリハビリ
産後の体は、思っている以上にデリケートです。
骨盤まわりの筋肉を正しくケアすることで、不調は改善し、育児や家事もぐっと楽になります。
今日からできる小さなケアで、自分の体を大切にしてあげてください。