「立った瞬間に膝がガクッと折れる」
「移乗時に急に支えきれなくなる」

このような“膝折れ”は、転倒リスクを高めるだけでなく、介助量の増加にもつながります。

特に高齢者や脳卒中後の方では、
「立てない」のではなく、
“支え続けられない”ことが問題になっている場合も少なくありません。

この記事では、

  • 膝折れとは何か
  • 介助量が増えやすいADL
  • よくある膝折れのパターン
  • 改善につながるアプローチ

について解説します。

膝折れとは?

膝折れとは、立位や歩行中に膝が急に曲がり、身体を支えられなくなる状態です。

特に、

  • 立ち上がり
  • 移乗
  • 方向転換
  • 歩き始め

など、体重が移動する場面で起こりやすくなります。

膝折れがあると、

  • 転倒リスクが高まる
  • 介助者の負担が増える
  • 「怖い」という感覚から活動量が低下する

など、ADL全体に影響しやすくなります。

膝折れにより介助量が増えるADL

移乗

ベッド⇔車椅子間の移乗では、
立ち上がり直後や方向転換時に膝折れが起こりやすくなります。

特に、

  • 前方へ重心移動できていない
  • 立位保持が不安定
  • 下肢支持が弱い

場合は、全介助に近づきやすくなります。

▶移乗介助については、こちらの記事で詳しく解説しています。

その移乗、介助が目的になっていませんか?セラピストのための移乗の考え方 リハビリ計画書やケアプランで、「移乗動作の介助量軽減」を目標にすることは多いと思います。 この目標を達成するためには、動...

更衣

ズボンの上げ下ろしでは片脚支持になるため、膝折れが起こりやすくなります。

その結果、

  • 立位保持ができない
  • 手すり依存が強くなる
  • 介助が必要になる

など、更衣動作の自立を妨げやすくなります。

よくある膝折れの2パターン

膝折れは、単純な筋力低下だけで起こるわけではありません。

臨床では、大きく2つのパターンをみることが重要です。

① 下肢の筋力低下が著しいタイプ

介護度が高い方や、寝たきりの期間が長い方に多い膝折れです。

身体を支える筋力が不足し、荷重に耐えられず膝が崩れます。

特徴

  • 立位で膝が支えられない
  • 立ち上がりで膝が崩れる
  • 移乗時に介助量が多い

改善が必要な筋肉

  • 大腿四頭筋
  • ハムストリングス
  • 臀筋群

特に大腿四頭筋は、立位で膝を支える重要な筋肉です。

また、筋力低下が著しい場合は、ハムストリングスで突っ張りながらでも、まず立位保持を経験することが重要だと考えています。

② 膝の過伸展で身体を支えているタイプ

脳卒中後の麻痺がある方や、姿勢保持が不安定な方に多い膝折れです。

一見立てているように見えても、膝を過伸展(膝をロック)させることで、靭帯や関節構造に依存して身体を支えています。

さらに、ハムストリングスを過剰に緊張させて支えている場合があります。

そのため、

  • 注意が逸れる
  • 力が抜ける
  • 重心位置がズレる

と急に膝折れが起こります。

このタイプは、膝が過伸展しているため安定して見えますが、支持戦略としては非常に不安定です。

特徴

  • 膝を反らして立つ
  • 長時間立位で疲れやすい
  • 方向転換や歩き始めで崩れやすい

改善が必要な筋肉

  • 大腿四頭筋
  • 臀筋群
  • 体幹筋

特に股関節・体幹の支持性低下により、膝へ依存しやすくなります。

評価でみたいポイント

膝折れをみる際は、
「筋力が弱い」で終わらせず、
なぜ膝で支えているのかを考えることが重要です。

① 筋力低下タイプでみたいポイント

  • どの程度離殿が可能か
  • 膝伸展可動域に制限がないか
  • 疲労で急に支持性が低下しないか
  • 股関節伸展が使えているか
  • 左右差なく足部荷重できているか

特に、立位での大腿四頭筋・臀筋群の支持性を確認します。

② 過伸展タイプでみたいポイント

  • 膝を反らせて立っていないか
  • 骨盤が前方へ逃げていないか
  • 体幹が後方へ残っていないか
  • 支持物があると安定するか
  • 重心移動時に膝折れしないか

過伸展タイプでは、「膝でロックして支える戦略」になっていないかを確認することが重要です。

支持物により体幹支持が補われると、膝への依存が減る場合があります。

膝折れへのタイプ別アプローチ

膝折れは、タイプによってアプローチが異なります。
「筋力を使えるようにする」のか、
「支え方そのものを変える」のかを考えることが重要です。

① 筋力低下タイプ:膝サポートでの立位保持

下肢筋力が低下している場合は、まず「安全に立位を経験すること」が重要です。

セラピストが膝や体幹が崩れないように補助しながら立位を行うことで、大腿四頭筋や臀筋群が働きやすい環境を作ります。

方法

  • 正面に立ち、セラピストの膝で対象者の膝前面を支持する
  • 下肢に荷重しやすいように骨盤を起こす
  • 骨盤や体幹を支えながら、下肢へ体重を移して離殿する
  • 支えられる範囲で繰り返し行う

ポイント

  • 強く固定しすぎない
  • 「自分の足で踏ん張る感覚」を大切にする
  • 体幹や骨盤が崩れない範囲で行う
  • 一人介助が難しい場合は、二人介助で安全に支持を作る

特に、大腿四頭筋が働いて膝を支える感覚を引き出すことが重要です。

▶動画で立位練習の方法が見れます。

② 過伸展タイプ:介助での立ち座り練習

過伸展タイプでは、「膝をロックして支える癖」を減らすことが重要です。

立ち座り動作を利用しながら、股関節・体幹を使った重心移動を学習していきます。

方法

  • 浅く座った状態から練習を行う
  • セラピストが骨盤・体幹を軽く誘導する
  • 前方への重心移動を促してから立ち上がる
  • 膝を反らせすぎない位置で立位を保持する

ポイント

  • 「膝で立つ」のではなく「股関節で支える」意識を作る
  • 勢いで立ち上がらない
  • 体幹が後方へ残らないよう注意する
  • 立位保持中も過伸展が強くならないか確認する

過伸展タイプは、一見安定して見えても、重心が崩れると急に膝折れしやすい特徴があります。

そのため、股関節・体幹を含めた支持戦略の改善が重要になります。

まとめ

膝折れは、単なる筋力低下だけでなく、

  • 過伸展による代償
  • 重心移動の問題
  • 体幹・股関節の支持性低下

など、複数の要因が関係しています。

特に移乗や更衣では介助量に直結しやすいため、

  • 「なぜ膝で支えているのか」
  • 「どの場面で崩れるのか」

を分析することが重要です。

安全に立てる経験を積みながら、身体全体で支える感覚を学習していくことが、介助量軽減や転倒予防につながります。

「転職・副業を考えている方へ」

私は実際にこの転職サイトを利用し、週3回のアルバイトをしながら、少しずつ自分の事業を進めてきました。

「いきなり独立は不安…」という方も、働き方を調整しながら準備を進める方法があります。

▶ 無料で相談する