膝が伸びない歩行に注意|腰痛・膝痛につながる原因と改善法
「歩くと膝が曲がってしまう」
「前かがみで歩いていると言われる」
「歩くとすぐ疲れる」
このような歩き方は、高齢者や脳卒中後、筋力低下がある方によくみられます。
一見歩けているように見えても、膝が曲がったまま歩く状態が続くと、膝や腰への負担が大きくなり、長期的には歩行能力低下につながることがあります。
この記事では、
- 膝が曲がって歩く原因
- 身体への影響
- 長期的に弱りやすい筋肉
- 膝の曲がり方別おすすめの運動
についてわかりやすく解説します。
膝が曲がって歩くとは?
膝が完全に伸びず、軽く曲がったまま歩いている状態です。
特に、
- 小股歩行
- 前かがみ姿勢
- すり足
- 疲れやすい
などを伴うことが多くあります。
臨床では大きく2つのパターンがあります。
よくある2つのパターン
① 両膝が曲がったまま歩くタイプ
両膝が軽く曲がり、しゃがみ込むように歩くタイプです。

特徴
- 前かがみ
- 小股歩行
- 重心が低い
- 疲れやすい
- 立位が不安定
原因
- 大腿四頭筋の筋力低下
- 股関節伸展筋弱化
- ハムストリングス短縮
- 体幹筋弱化
- パーキンソン症状
- 廃用
など。
② 後ろ足だけ膝が曲がるタイプ
歩行中、後ろに残る脚の膝が伸びきらないタイプです。
一見普通に歩けているため見逃されやすい特徴があります。

特徴
- 蹴り出しが弱い
- 歩幅が小さい
- 骨盤回旋が少ない
- すり足になりやすい
原因
- 股関節が後ろへ伸びない
- 腸腰筋短縮
- 大臀筋弱化
- 下腿三頭筋弱化
- 足関節背屈制限
- 前方重心不足
などが関係します。
膝が曲がった歩行で起こりやすい問題
大腿四頭筋が疲れ続ける
膝を少し曲げるだけでも、太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)は常に働き続けます。
その結果、
- 太ももの疲労
- 階段がつらい
- 立位保持困難
につながります。
大臀筋が弱りやすい
本来、歩行では股関節を後ろへ伸ばす動きが重要です。
しかし膝が曲がった歩行では、後ろへしっかり乗れず、大臀筋が働きにくくなります。
その結果、
- 歩幅低下
- 立ち上がり困難
- バランス低下
が起こりやすくなります。
ふくらはぎが弱りやすい
後ろ足で蹴り出せないため、下腿三頭筋(ふくらはぎ)が弱りやすくなります。
すると、
- 歩行速度低下
- すり足
- 段差が上がりにくい
などにつながります。
起こりやすい痛み
膝前面痛
膝を曲げた状態では膝蓋骨周囲への負担が増えます。
特に、
- 階段
- 立ち上がり
- 長時間歩行
で痛みが出やすくなります。
腰痛
前かがみ姿勢になることで、腰の筋肉が過剰に頑張る状態になります。
特に、
- 脊柱起立筋
- 腰方形筋
への負担が増えやすくなります。
足裏やふくらはぎの痛み
重心移動が悪くなることで、足部で無理に身体を支えようとします。
その結果、
- 足底痛
- こむら返り
- アキレス腱周囲痛
などが起こることがあります。
長期的に起こりやすいこと
膝が曲がった歩行が続くと、
- 活動量低下
- 歩行耐久性低下
- 転倒リスク増加
- 廃用
- 膝変形の進行
につながる可能性があります。
特に高齢者では、
「疲れるから歩かない」
↓
「筋力低下する」
↓
「さらに歩きにくくなる」
という悪循環になりやすいため注意が必要です。
▶高齢者の歩行能力低下(ロコモティブシンドローム)については、こちらの記事で詳しく解説しています。
膝の曲がり方別おすすめの運動
両膝が曲がって歩くタイプにおすすめ
かかと上げ運動(つま先立ち)
両膝が曲がって歩く方は、身体を支える筋力や、上へ伸びる感覚が低下していることがあります。
かかと上げ運動は、膝を伸ばして身体を支える感覚を作りやすい運動です。

方法
- 椅子や手すりにつかまる
- 背筋を軽く伸ばす
- かかとをゆっくり上げる
- ゆっくり下ろす
10〜20回行います。
ポイント
- 身体を前へ倒しすぎない
- 膝が曲がらない範囲で行う
- 上へ伸びるイメージを持つ
- 呼吸を止めない
期待できる効果
- 下腿三頭筋強化
- 立位安定性向上
- 歩幅改善
- 姿勢改善
後ろ足だけ膝が曲がるタイプにおすすめ
立位での後ろ足伸ばし練習
歩行中に後ろ足の膝が曲がる場合は、股関節前面の硬さや、お尻の筋力低下が関係していることがあります。
後ろへ伸びる感覚を作ることが重要です。

方法
- 壁や机に手をつく
- 片脚を後ろへ引く
- 後ろ脚の膝を軽く伸ばす
- お尻に力を入れながら保持する
20〜30秒×2〜3回行います。
ポイント
- 腰を反りすぎない
- 骨盤が前へ流れすぎない
- 股関節前面が伸びる感覚を意識する
- 痛みが出る場合は中止する
期待できる効果
- 股関節伸展改善
- 後ろ足で支える感覚の改善
- 歩幅改善
- 蹴り出し改善
膝が曲がる歩行改善におすすめ
後ろ歩き
後ろ歩きは、膝を伸ばして身体を支える感覚や、後ろ足で地面を押す感覚を練習しやすい運動です。
両膝が曲がって歩く方や、後ろ足の膝が曲がりやすい方の両方におすすめです。

方法
- 壁や手すりの近くで行う
- 背筋を軽く伸ばす
- 小さい歩幅でゆっくり後ろへ歩く
- 5~10歩を反復する
ポイント
- 上体を前へ倒さない
- 膝が軽く伸びる感覚を意識する
- つま先からゆっくり足の裏全体をつけていく
- 転倒に注意する
期待できる効果
- 股関節伸展改善
- 膝伸展の促通
- 姿勢改善
- 歩幅改善
- バランス向上
まとめ
膝が曲がったまま歩く状態は、
- 筋力低下
- 股関節の硬さ
- 姿勢制御低下
- 重心移動不足
など複数の要因が関係しています。
特に、
- 大臀筋
- ふくらはぎ
- 体幹
が弱りやすく、腰痛や膝痛につながることがあります。
単純に「膝を伸ばす」のではなく、
- 股関節
- 体幹
- 重心移動
まで含めて考えることが大切です。

