脳出血にはさまざまな種類がありますが、その中でも比較的多いのが「被殻出血」と「視床出血」です。

どちらも脳出血ですが、出血した場所によって現れやすい症状は異なります。

そのため、リハビリや運動も同じ内容を行えばよいわけではありません。

この記事では、被殻出血と視床出血の特徴の違いと、それぞれに対する運動の考え方について解説します。

なぜ症状が違うの?

脳にはそれぞれ役割の異なる部位があります。

被殻は主に「身体を動かすためのネットワーク」に関わり、
視床は「感覚情報を脳へ伝える中継地点」として働いています。

そのため、

  • 被殻出血では運動の問題
  • 視床出血では感覚の問題

が目立ちやすくなります。

もちろん実際には両方の症状が混在することもありますが、どちらが主な問題なのかを把握することがリハビリを考えるうえで重要です。

被殻出血とは

被殻は大脳の深い部分にある神経核の一つです。

運動機能と深く関係しており、脳出血の中でも比較的多くみられます。

被殻出血でみられやすい症状

  • 手足の麻痺
  • 筋力低下
  • 歩行障害
  • 姿勢保持の低下
  • 失語症(左脳の場合)
  • 注意力低下

特に運動麻痺が強く現れやすいことが特徴です。

  • 力が入りにくい
  • 立ち上がれない
  • 歩けない

といった症状が主な問題になることがあります。

また、歩行時に麻痺側の足を外側へ大きく振り回す「ぶん回し歩行」が見られることがあります。

足が外に回る...脳卒中後に多い”ぶん回し歩行”の原因と自宅でできるリハビリ 「足が外に回ってしまう」「つま先が引っかかりそうで怖い」 脳卒中のあと、このような歩き方に悩んでいませんか? 足を...

視床出血とは

視床は感覚情報の中継地点として働く重要な部位です。

触った感覚や位置感覚など、多くの感覚情報が視床を経由して大脳へ伝わります。

視床出血でみられやすい症状

  • 感覚障害
  • しびれ
  • 位置覚障害
  • バランス障害
  • 注意障害
  • 視床痛

麻痺が比較的軽くても、

  • 足がどこにあるかわからない
  • 床を踏んでいる感覚が薄い
  • 身体が傾いていることに気づきにくい

という状態になることがあります。

筋力だけでは説明できない歩きにくさが特徴です。

被殻出血と視床出血の違い

被殻出血

主な問題は「動かせないこと」です。

  • 運動麻痺が中心
  • 力が入りにくい
  • 動作が難しい
  • 歩行能力が低下する

視床出血

主な問題は「感じにくいこと」です。

  • 感覚障害が中心
  • 足の位置がわかりにくい
  • 体の傾きがわかりにくい
  • バランスを崩しやすい

同じ片麻痺でも、運動の組み立て方は大きく変わります。

被殻出血で運動を選択する際の考え方

被殻出血では、運動麻痺が主な問題となることが多くあります。

そのためリハビリでは、

  • 効率よく筋肉を使えるようにする
  • 麻痺側で身体を支えられるようにする
  • 歩行に必要な体幹や股関節の機能を高める

といった視点が重要になります。

片麻痺では、一部の筋肉に頼った動きになりやすく、身体を支えるために必要な筋肉が十分に働いていないことがあります。

そのため、単純に筋力を鍛えるだけでなく、必要な筋肉を適切に使えるように練習することが大切です。

具体的な練習例

  • 寝返り練習
  • ブリッジ運動
  • 麻痺側への荷重練習

などが行われます。

これらの練習は、麻痺した筋肉を効率よく使いながら、立ち上がりや歩行に必要な身体の支えを作ることをもくてきとしています。

特に寝返り練習は、体幹機能や姿勢制御の改善につながる重要な基本動作です。

寝返り・起き上がり介助で自立を促す|動作獲得につながる正しい誘導方法 寝返り・起き上がりといったベッド上での動作獲得は、寝たきりを防ぎ、主体的な生活につながる重要な基本動作です。 ベッド上動...

ご家族の関わり方

動作に時間がかかるからといって、すべてを手伝いすぎると身体を使う機会が減ってしまいます。

安全に配慮しながら、

  • できることは本人に行ってもらう
  • 成功した動作を一緒に確認する
  • 少しでも麻痺側を使う機会を増やす

ことも大切です。

視床出血で運動を選択する際の考え方

視床出血では、感覚障害や身体の位置が分かりにくくなる症状がみられることがあります。

そのためリハビリでは、

  • 足裏や手足からの感覚入力を増やす
  • 身体の位置を認識しやすくする
  • 感覚を活用しながらバランス能力を高める

といった視点が重要になります。

筋力だけを鍛えるのではなく、

「どこに体重がかかっているか」
「身体がどこにあるか」

を確認しながら運動を行うことが大切です。

具体的な練習例

  • 足裏で床を感じる練習
  • 麻痺側上肢への荷重練習
  • 座位や立位での重心移動練習

などが行われます。

特に座位での重心移動は、自分の身体がどこにあるのかを認識する練習にもつながります。

支持基底面から整える座位姿勢|土台から考える評価とアプローチ 座位では、脊柱だけでなく支持基底面に対して評価やアプローチができていますか? 座位を整える際、骨盤や体幹を起こすことに意識が向き...

ご家族の関わり方

視床出血では、見た目には分かりにくい感覚障害が残ることがあります。

そのため、

  • 急がせない
  • 焦らせない
  • 転倒に注意する

ことが大切です。

「ちゃんと見えているのに、なぜできないの?」
と思う場面もあるかもしれませんが、本人は身体の位置をうまく感じ取れず困っていることがあります。

本人が感じている違和感を理解しながら関わることで、安心して動作を行いやすくなります。

実際には両方の症状が混在することも多い

実際の脳出血では、

  • 麻痺
  • 感覚障害
  • 高次脳機能障害

が組み合わさって現れることも少なくありません。

そのため、

  • 被殻出血だから筋力だけ
  • 視床出血だから感覚だけ

という単純なものではありません。

大切なのは、その方が何に困っているのかを評価し、原因に合わせて運動を選択することです。

こんな症状が続く場合は専門家へ相談を

退院後も、

  • 歩行が不安定
  • 転倒を繰り返す
  • 麻痺側に体重が乗らない
  • 手足の感覚が分かりにくい
  • 動作に強い不安がある

といった症状が続く場合は、リハビリ専門職へ相談することをおすすめします。

症状の原因を整理することで、より適切な運動方法が見つかる場合があります。

まとめ

被殻出血と視床出血は、同じ脳出血でも症状の特徴が異なります。

被殻出血では運動麻痺が中心となりやすく、筋活動や姿勢制御を高める運動が重要です。

一方、視床出血では感覚障害が中心となりやすく、足裏感覚や位置感覚を活用した練習が重要になります。

リハビリでは病名だけではなく、「なぜ動けないのか」を考えながら運動を選択することが改善への近道になります。

また、ご家族が症状の特徴を理解することも、日常生活での支援やリハビリの継続につながります。

「座るとお尻が痛くなる方へ」

長時間の座り姿勢による負担をやわらげるには、体圧分散クッションの活用がおすすめです。

プレミアムダブルGELクッションは、やわらかすぎずしっかり支える構造で、お尻への負担を分散し、快適に座りやすい設計です。

▶︎ 詳細はこちら